復習のご案内:書籍の第1章:本書を理解するための基礎固め

  1. p12、p13:図表ー1をみてください。日本の専門書やセミナーでは、大企業に偏った内容を伝授しているのがほとんどです。それを知らない中小企業や零細企業に勤務の受講者が、セミナーなどの内容をそのまま勤務先へ持ちかえり、そのまま実行しようとしています。



    たとえば、当事務所のクライアント企業のひとつにデジタルカメラを製造している中堅企業がありました。この企業では日本の自動車系の独特な「ガラパゴスFMEA」や、これでもか、これでもかと資料を準備させるデザインレビュー(DR、設審査)システムを構築していました。

    その結果、日本の自動車企業同様の毎月がリコールでした。「百害あって一利なし」とはこのことです。



    つまり、中小、零細企業には、身の丈サイズの仕組み(システム)が必要なんです



    【図表ー1】


  2. p14からp16:少なくとも「ツールオタク」にはならないようお願いします。
    また、日本を代表する自動車企業が発している「3H」ですが、何これっ!と驚愕してしまいます 。

    ① 初めて(Hajimete)
    ② 久しぶり(Hisashiburi)
    ③ 変化点(Henkaten)

    ガラパゴス大国日本!ですが、その代表的な標語が「5S」、そして「3H 」。もう、勘弁してよ! こんな標語で、トラブル撲滅は無理でしょ!


  3. p20:それでは、本章の「基礎固め」に入って行きましょう。
    「それは、・・・
    E04:ついてきなぁ!失われた『匠のワザ』で設計トラブルを撲滅する
    E05:ついてきなぁ!設計トラブル潰しに『匠の道具』を使え!
    で習いました」と、言うかもしれません。


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    しかし、各社各様の受講者様のために、もう一度、「匠のワザ集」をメインに解説します。それほど、技術者としては重要なアイテムであると理解してください。


  4. p22:匠のワザ(1)から(6)を「匠のワザ集」と呼んでいますが、重要な項目というのは、一番初めに登場するものです。それが「匠のワザ(1)」であり、別名、「トラブル三兄弟」です。

    三兄弟ですから、図表1-2-3の順に「新規技術」「トレードオフ」「××変更」が存在しています。トラブル件数を統計処理すると、トラブルの98%をこれらの三兄弟で三等分で占めています。


  5. p23:三兄弟のトップバッターは「新規技術」です。当事務所は近隣の工業高校も指導していますが、高校生の彼らも容易に理解してくれるのが「新規技術」です。「新しいものには直ぐには手を出すな!」という格言でもあります。暫くは、様子見が必要です。

    また、新規技術の導入の当事者ならば、誰もが納得する確認行為が必要となります。もっと身近な例でいえば、設計審査で承認を得られるためのトライアルやロジックを固める必要があります。


  6. p23:三兄弟の二人目は「トレードオフ」です。設計コンサルタントがメイン業務の当事務所の場合、お客様をヒヤリングすると、最も多い「トレードオフ」の事例は、Q(品質)とC(コスト)のトレードオフに関する見誤りがとても多いことに気が付きます。


  7. p24:最後の兄弟は「××変更」です。
    当事務所は、各種の業界をクライアントとする設計コンサルタントで生計を立てています。その多くのお客様のところで大変困ったお客様(技術者)がいます。それは、「変化点」という単語を使う技術者です。

    「どこで覚えたの?」と聞けば、大きなセミナー企業にて自動車系企業のOB講師からであったとのことです。私は眼を釣り上げて怒りはしませんが、当事務所とコンサルテーション契約した場合には、「変化点」という単語は止めにして、「××変更」、どうしても「点」を使いたいのであれば、「変更点」にしてくださいとお願いしています。






    「変化点」とは、主にモード系の方々が使う単語です。ファッション系と言っても同義です。この変化点を探求しているのが日本の自動車業界とその関連部品企業です。したがって毎年、リコールが減少するどころか、増加の一途をたどっています。

    しかも、リコールの内容が辛辣な内容となってきています。それでも、「変化点」を使いたいのですか?





  8. p25:匠のワザ(1)のトラブル三兄弟ですが、この内容が理解できた次のステップは、あなたのトラブル経験をこの三つに分類して、一件一葉でその事例を挙げてみましょう。

    どうやるかと言えば、トラブル三兄弟エクセル版をダウンロードして、過去のトラブル事例集を作りましょう。一般企業で言われている「過去トラブルリスト」や「過去トラリスト」です。



    技術者としての経験が少ないのであれば、私生活でのトラブルでもOKです。なお、ダウンロードサイトは、p26に記載されています。この後でも解説しますが、FMEAとは、この過去トラブルリストがないと作成できません。それほど重要な過去トラブルリストは、トラブル三兄弟エクセル版での作成をお勧めします。


  9. p30:トラブル三兄弟は件数の分析であって、損失額で分析すると「××変更」が半分以上である51.1%を占めます。

    次に図表1-2-5を見てください。つまり、三兄弟の中で最も重要なアイテムが「××変更」と言えます。


  10. p31からp33:トラブルの原因が潜在している場所がトラブル三兄弟でした。これは工業高校の若い学生さんも容易に理解してくれます。

    もう一つ、潜在している場所を探索する概念が、「匠のワザ(2)」のインタラクションギャップです。言葉で説明するよりも、p32の特性要因図を使用した説明の方が理解できたと思います。



    ほとんど訓練の必要がない「匠のワザ(1)」に対して、この「匠のワザ(2)」は、要因と要因の間、つまり、インタラクションギャップにトラブルの要因が潜在していることを抽出できるまでには訓練(修行)が必要です。と言ってもその訓練は、約1週間から2週間で身に付きます。要は、やる気があるか否かです。


  11. p35:図表ー2の「匠のワザ(3)」は、「トラブル完全対策法」です。なんと衝撃的なネーミングでしょうか?隣国巨大企業では、「業務指名制」ですので、この匠のワザ(3)」を駆使できない技術者は決して業務指名を受けません。

    そして、このトラブル完全対策法を駆使できるかできないかで技術者として大きな「差」が生じます。なぜでしょうか?ネーミングそのものですよ。




    【図表ー2】


  12. p36からp43:設計審査で、「保留」とか「条件付き承認」という判定用語があるのは世界でも日本企業だけの現象です。まさしく、ガラパゴスの代表格です。世界における設計審査の判定は、「承認」と「却下」しかありません。そこで承認とは、「方針:OK」かつ「検証:OK」のセットで承認と言います。検証とは、設計工学の専門用語で言えば「設計検証」のことです。



    ちょっと難しい単語なので、詳細に学びたい場合は、「E02:ついてきなぁ!『設計書ワザ』で勝負する技術者となれ!」、もしくは、「E13:ついてきなぁ!機械設計の企画書と設計書と構想設計」のセミナーやコンサルテーションで解説させてください。

    書籍を入手すればある程度は理解できます。当事務所の書籍の全ては、全国の市立図書館や県立図書館に蔵書されています。



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  13. p36:フールプルーフ設計思想の方針キーワードは、「目を閉じても安全性や確実性の提供」であり、検証キーワードは「その証拠固め」です。


  14. p37:セーフライフ設計思想の方針キーワードは、「寿命内で決して故障しないために安全率向上などを施す」であり、検証キーワードは、「その証拠固め」です。


  15. p38からp40:フェールセーフ設計思想の方針キーワードは、「一部品が損傷しても機器全体の致命的故障にはならない」であり、検証キーワードは「その証拠固め」です。

    たとえば、講義中の暗記ワードで伝えた「センサー1発!もしくは冗長設計」が具体的な技術手段です。

    一方、このフェールセーフ設計思想は、4つの完全対策法のうち、最も重要な設計思想です。したがって、物体を持たない情報系(ソフトウエア)の技術者は、これ1本に「命」をかけます。


  16. p42:ダメージトレランス設計思想の方針キーワードは、「致命的な各種のミスを許容」であり、検証キーワードは「証拠固め」です。世界最新の設計思想です


  17. p43からp47:匠のワザ(4)は、レベルダウン法と言います。設計変更を施したその後にトラブルが再発する場合が多々見られます。このレベルダウン法は 、トラブルの再発を認識した上で、あえて採用する手法です。

    ただし、そのレベルがダウンしなくてはいけません。レベルとは三種あります。p45に示す「発生度」「影響度」「検出度」です。






  18. p無し:匠のワザ(5)ですが、この匠のワザ(5)は、今回のセミナーで使用した書籍「ついてきなぁ!悪い『設計変更』と良い『設計変更』」に記載がありません。
    E04のついてきなぁ!失われた『匠のワザ』で設計トラブルを撲滅する」の第5章に記載されています。しかし、以下のセンテンスを理解すれば十分です。






  19. p無し:匠のワザ(6)は、最新の「匠のワザ」です。当事務所のクライアント企業からの依頼で、この一つを付け足しました。

    それは、「落し処はどこ?何?」と自問自答をすることをお勧めします。また、上司はそのように部下へ質問してあげてください。また、配布資料の「ドラム式洗濯乾燥機」の事件を復習しましょう。キーワードは「4+1」です。






  20. C4:(C4とはサブテキストのC4ページです)
    たとえば、5億円のストラトヴァリウスというヴァイオリンが存在しています。その奏法のワザ無き者が弾けば、雑音しか発生しません。しかし、ワザを習得して修行を積めば、5億円相当の音色が奏でるのです。







    匠のワザと貴社内に存在する5億円相当のFMEAやDRシステムを、その価値相当の効果が出るようにと導きました。ここで、下図のチコちゃんを思い出してください。






  21. p無し:それでは、「基礎固め」の最後は下図です。
    下図の原稿は、冒頭で解説した当事務所のサーバーからダウンロードできます。A4の印刷してA5の硬質クリアホルダーへ格納しておきましょう








  22. p57:「変化点」ではなく、「変更点」に着目すれば、貴社やあなたのトラブルは必ず半減します





    この先、「変更点」、つまり、設計変更に着目して、貴社やあなたの設計品質向上のために、充実した復習をご案内します。