QC矢印の使用禁止!

さて、前述のボトム層、つまり、一般社員の士気を高めるために、「QCサークル」が発足しました。職場単位のサークル活動です。その目的は、作業改善一筋。さらなる活性化の手段として、「QCサークル発表会」の企業大会、県大会、全国大会へと発展していきました。これらのプレゼンに使用されたのが、文章や接続詞を排除した「QC矢印」だったのです。もちろん、日本独特の矢印です。

初めは簡潔で評判でしたが、各種の方言が出現すると、いわゆる、「理解できない方言」へと変化したのです。それが、国内から海外へは派生し、今では、「外国人技術者が悩む日本人が多用するQC矢印」とまで、筆者のコンサルタント仲間で言われています。

それでは、外国人がどのように悩んでいるか、今から体験してみましょう。

4.実験-1:左から右へ流れる文章の接続詞を代入してみよう!

図表9-2に示す矢印に沿って、接続詞①②③を埋めてください。
【図表9-2】


それでは、解答します。
①②③:「だから」「しかし」「しかも」の順で接続詞が代入できたと思います。容易に解答できたと思います。

5.実験-2:右から左へ流れる文章の接続詞を代入してみよう!

同様に、図表9-3に示す矢印に沿って、接続詞④⑤⑥を埋めてください。
【図表9-3】


それでは、解答します。
④⑤⑥は、「しかし」、「しかも」、「だから」の接続詞です。こちらは容易に代入できましたか?
矢印の向きが変わっただけで、脳が混乱したはずです。これが、外国人の悩みの一つ目です。

6.実験-3:もう一度、右から左へ流れる文章を思い出そう!

さらに、図表9-4に示す矢印に沿って、⑦の文章を埋めてください。【図表9-4】
それでは、解答します。
⑦:昨日の弁当は美味かった!・・・ですね!
そう!その通りです。

7.実験-4:しつこいけど、もう一度、文章を思い出そう!

最後の実験です.
しつこいけど、もう一度、図表9-5の⑧の文章を埋めてください。


【 図表9-5 】


それでは、解答します。
⑧:昨日の弁当は超まずかった!
えっ!図中における左側の3つの文章は、図表9-4、図表9-5とも同じです。矢印の意味が、いかようにでも解釈できてしまうことに気がつきましたか?

外国人技術者の二つ目。実は、これが最大の悩みでした。

矢印とは、道路標識や非常口を案内する方向を示すもの、または、因果(いんが)を表現します。因果とは、原因と結果、過去と現在を示します。
当事務所のクライアント企業において、「QC矢印」は使用厳禁です。
次回は、技術論文におけるタイトルの重要性をお伝えします。

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大手総合電機企業3社にて、「技術者向け コミュニケ・プレゼン・スキルアップ講座」や「技術者向け 論文と面接対策講座」に採用されています

おつかれ様でした。また、お会いしましょう!