3.コンパクトデジカメに関する仕様の優先順位を決定する

「なぁ~んだ、ポスタータイトル用のQFDか!」と思われるのは、早急しすぎかも。当事務所のクライアント企業のひとつにコンパクトデジタルカメラ(以下デジカメ)の企業がありました。老舗のカメラ企業でしたが、家電企業の進出でシェアは低下するばかり、老舗カメラメーカーのプライドもズタズタです。

その企画書を診断したのですが、なんの特徴もなく、その企業の得意とするカメラ技術を「これでもか!」と導入し、気付けば、「なんでもあり!」の重たくて分厚いデジカメの開発を目指していました

ここから、コンサルテーションに入りました。
まずは、「設計思想とその優先順位」を探ります。しかし、「私はこう思う」、「いや、僕はこうだ」と、いつまでも、「設計思想とその優先順位」が決りません。そこで登場したのが、下記に示すQFD(ビジネスバージョン)です。
大きな特徴は縦列の指標に、Q、C、D、その他に関する重し付けを加味したことです。たとえば、「携帯性が良い」ことと「画質が良い」ことがQ、C、D、その他を加味した時に同等でよいのか否かの問題を解消できます。


【図表10-2】

 この図表から読み取れるデジカメの「設計思想とその優先順位」は、・・・
① 電源の種類(=バッテリーとしてリチウム電池を使用)
② 軽いことコンパクトであること。
③ ブレ防止機能があること。(③は2つある)

上記の図表10-2や詳細な解説は、下記の書籍p60、p63からダウンロードできます。ただし、これは、今回の趣旨、つまり、「技術論文はタイトルで決める時代」のタイトルから大きく逸脱します。この書籍とQFD(ビジネスバージョン) は、当事務所の専門である「競合機潰し屋」専用のツールだからです。

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上記①②③の順で、「設計思想とその優先順位」が設定されました。
素手で戦えない者は、「飛び道具」を有すれば必ず勝てます。 一方、各種の開発ツールに「これでもか!これでもか!」と100点満点を期待する場合があります。

しかし、筆者は設計職人ゆえに、開発ツールには合格点の70点を期待して使用しています。これを当事務所では「電卓レベルの開発ツール」と呼んでいます。開発ツールを「主役」にしてはいけません。開発ツールとは、常に「脇役」であるべきです。
次回もお楽しみに。

おつかれ様でした。また、お会いしましょう!