2.事例:技術論文におけるヤマ場の作り方

第10回で解説したように魅力あるタイトルが決定したら、次は、第11回の書き出しで勝負する。・・・ここまで理解できたら、後は中身で本格勝負です。新人設計者のあなたが壇上でのプレゼン中、いよいよヤマ場に差し掛かったことを会場の聴衆に示す予告サインがあります。このサインによって、聴衆は身構え、あなた自身も一層の気合いが入る箇所です。
さて、そのサインとは、・・・


① さて、どうなったでしょうか?
② ここまでは、うまく行ったのです。しかし、現実は・・・
③ この後、予想もしないトラブルに見舞われました。それは・・・
④(あなたのアイデア)


図表15-2を見てみましょう。



【図表15-2】


この図表は技術論文であり、または、壇上でのプレゼンに使用するパワーポイント資料です。この資料の「承」に相当する原稿の一番下に、前述のサインをダイレクトに記入しましょう。慣れた方やベテランは、文章の流れや口調でそのサインを伝えることができると思いますが、そこまで到達するには時間がかかります。ましてや、皆さんは、若手の設計者なのですから、そんなに上達する必要はありません。

したがって、前述のサインをダイレクトに記述してしまいましょうこれが、今回コラムでお伝えする「技術者におけるヤマ場の作り方」、そのコツです。

そして、筆者がよく使う予告サインは、前述の①②③の三種類です。新人設計者も、あなた流のオリジナルを前述④に付け足してください。
一方、技術論文の場合は、前述のような口語体は使えないので、以下に示す文語体がお勧めです。
⑤ 以上の試行錯誤を経て、次は結果に入ります。
⑥ ここまではうまく行ったのですが、現実は異なりました。
⑦ この後、予想もしないトラブルに見舞われました。


この代表的な事例が、あの有名な「プロジェクトX」です。それは、ある放送局で世間に大きなインパクトを与えた人気番組でした。関東では、毎週日曜日の夕食が終わる頃のゴールデンタイムに放映されていました。主人公は各企業で大活躍され、引退された元技術者達です。2000年3月から2005年12月まで通算187のタイトルが放映され、多くの技術者がスタジオに招かれました。


当事務所の分析によれば、この番組のほぼ100%が「起承転結」で構成されています。そして、ほぼ100%、「転」に入る直前にナレーターが前述①②③の予告サインを入れます。その後、コマーシャルは入れられないので、フェードアウトとともに、その番組特有のブレーク画像が流れます。
ちょっとしたブレーク、つまり、中断や間を入れると、さら効果が高まります。  
新人設計者のあなたも、この「予告サイン+ブレーク」にチャレンジしてみましょう。「ブレーク」に関しては、第13回の「ブレーク型プレゼン」で既に、解説済みです。後は実践あるのみです。何事も恐れず、恥ずかしがらずにトライアルしましょう。何度も失敗が許されるのは、新人設計者のうちです。


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おつかれ様でした。また、お会いしましょう!