4.事例で知るCAE(コンピュータシミュレーション)

  • 私たちがなにげなく手にしているコーラやビールの容器に使用されているアルミ製缶容器ですが、そのCAEの結果を図表22-2で見てみましょう。
  • 『アルミ缶の座屈解析に関してですが、この容器の耐圧性は、単純な円筒形状と比較して6倍以上もあります。』(有限会社 構造計算テクノロジー)


    【図表22-2】
    (画像提供:有限会社 構造計算テクノロジー)
  • 『円筒形状では、底板の凹み変形が最も弱い座屈モードですが、缶ビールなどのアルミ製缶容器では、底板部が曲面で強化されており、初めに現れるのは円筒面の花びら状の座屈モードです。』(有限会社 構造計算テクノロジー)
  • 新人設計者のうちから図表22-2レベルのCAEを実施できること、つまり、設計ツールを使いこなせることが肝要です。なぜなら、ビール容器底面の凹部の最適な形状が設計できなければ、炎天下のビーチに置かれる缶ビール、-20℃の冷凍室で急冷される缶ビール、これらの容器が容易に破裂してしまいます。
  • 破裂しない容器を設計するとき、試行錯誤を繰り返していれば、おそらく半年以上も実験を続けることになるでしょう。
  • アルミ製缶容器の現物を用いた分析は非常に困難です。コンピュータ及び、有限要素法というソフトウェアがあって初めて解析できるのです。
  • 当事務所のクライアント企業における設計審査では、必ず、CAEの結果を求められます。つまり、CAEが実行できなければ、設計審査も受けられない設計者となります。しかし、CAEのプロになる必要はありません。複雑なCAEは、有料にてプロに委ねるべきです。
  • 今一度、貴社に存在する設計ツールをオールリセットして、必要最小限の設計ツールを再選択してみましょう。これが、設計の効率化の第一歩です。

おつかれ様でした。また、お会いしましょう!