3.1円玉の設計見積りを実行する
- 設計見積りとは、部品もない、図面もない状況において、その部品コスト(原価)がおよそいくらにになるかを概算する設計プロセスです。この文言中の「部品」を「寿司」や「牛丼」、「ラーメン」や「蕎麦」などに置き換えてみてください。
概算ができなければ、コスト|(原価)を求めることができなければ、もちろん、定価を決められません。 - 以下の式は実務式です。
設計見積り=材料費+加工費+1個当たりの型費・・・【実務式ー1】
① 材料費:小麦や牛肉などの食材は世界各国で揉め事が毎度起きていますが、工業材料、
とくに機械材料は世界でほぼ共通です。「ほぼ」と言うのは、かなり大雑把な
見方です。少なくとも、食材ほど世界各国ではバラツキはありません。
② 加工費:ほぼ人件費です。給料のことです。これは世界で大きなバラツキを生じてい
ます。したがって、アメリカや日本国内で、海外生産が盛んになり、空洞化
現象が起きてしまうほどのバラツキがあります。
③ 型費:これも人件費のことです。上記同様です。 - 以下、この実務式に沿って、概算していきましょう!
4.1円玉の材料費を求める
- 世の中には機械材料の専門書やセミナーが数多く存在していますが、そのほとんどが機械的な材料特性(Q)しか教えていません。たまに、コストに触れる場合、「高い、安い」の概念だけの知識で終了です。これでは、設計職人の筆者は「飯が食えません!」。
- どうして、このような現象となってしまったのでしょうか?それは、・・・
現場からほど遠い学術の場からの学者が執筆した機械材料に関する専門書が存在します。実際に材料を購入して製品を作りあげるでもなく、競合企業との闘いにも無経験ですから、機械材料の「円」では表現できないのです。
その専門書を他の執筆者が真似して、または、Webからも情報を入手して、「高い、安い」の概念だけの機械材料専門書の発刊やセミナーが実施されているのです。
これでは、学生は満足できますが、当事務所のような設計職人は満足できません。材料費を「円」で表現できなければ、「飯が食えない!」のです。 - それでは、設計見積りの公式における第1項目である「材料費」を求めてみましょう。