D22.フェールセーフ設計思想で10年先輩を追い抜く(3)

4.フェールセーフ設計思想とは

  1. 4つ存在する設計思想の第三番目が、図表22-2の絵辞書に示す「フェールセーフ設計思想」です。




    【図表22-2】フェールセーフ設計思想の絵辞書
    (出展:國井技術士設計事務所)


  2. フェールセーフ設計思想とは、一部品が損傷しても、機器全体が致命的故障にならない、または、機器が「安全側に倒す」ことが検証された設計思想です。ここで、「安全側に倒す」とは、ほとんどの場合、緊急停止を意味します。


  3. 昨今の社告・リコールの増加原因の一つがこれです。つまり、エマージェンシーの状況で瞬間停止ができずに大事故へと繋がってしまう事象です。
    それでは、恒例の身の回りの事例を見てみましょう。


  4. 各種の事例
    旅客機ボーイング747:たとえば、飛行中にエマージェンシーな状況をセンシングした場合、直ちに元の空港に戻るか、近くの空港に緊急着陸する。場合によっては着水し、致命的な事故を回避する。



    パソコン用の空冷ファン:プラス、マイナスの電線の他、ファン異常時にフェール信号線を有し、空冷不能となった場合、パソコンを強制停止する。



    洗濯機の蓋:昔、脱水層の蓋を開けると回転が停止モードにはなるが慣性で回転し続け、緊急停止は不可能であった。しかし、現在は回転が完全停止でブザーが鳴り、電磁ロックが自動解除されて初めて蓋を開けることができる。



    電子レンジの前面ドア:有害な電磁波を放出させないために、ドア開放や、半ドア状態をセンシングして、パワーオンができない。



    最新のモータ:過電流防止回路が働くと停止する。発熱や発火や発煙防止。



    回転ドア:人体や荷物を挟んで回転負荷がかかると瞬間停止する。光センサーだけでセンシングしていた回転ドアは、センシング不能領域で瞬間停止ができずに子供の死亡事故を発生させた。



    ATS(自動列車停止装置):列車の異常速度を検知すると停止させる。



    電気ストーブやガスストーブ:倒れかかると自動消化する。



    電気回路のヒューズ:過電流でヒューズが切れて機能の強制停止。



    火災報知器:煙を感知すると警報やスプリンクラーが作動し、大火災を回避する。沖縄首里城にスプリンクラーはあったのか?