D22.フェールセーフ設計思想で10年先輩を追い抜く(3)

5.センサー設置でもトラブル多発するのはなぜ?

  1.   昨今、各種のセンシング技術は著しい進歩を示す一方で、自動車産業を代表に、社告・リコールなどのトラブルが収束しません。むしろ、増加傾向です。
    しかも、そのトラブル内容が生命に関わるなど重大化しているのは大きな社会問題として取り上げられ、日本技術の真価までもが問われています。



    何故、そのような事象が起こるのでしょうか?以下、二つの衝撃的な事例を挙げてみましょう。


  2. 京浜急行のトラック衝突事故
    その一つ目が、「京急のトラック衝突事故」。2019年9月5日、横浜市神奈川区の踏切内で立ち往生した大型トラックに、京浜急行線の快速特急が衝突した事故が起きました。 踏切内の障害物を検知するセンサーがトラックを検知していたにもかかわらず・・・。


  3. 沖縄 首里城の大火災
    二つ目の衝撃的な事件は、沖縄の「首里城の大火災」。2019年10月31日の未明に出火しました。那覇市消防局によれば、「首里城正殿北東の部屋の分電盤の床下配線と、分電盤側面のコンセントに取り付けられていた延長コードに溶融痕があった」と言います。

    分電盤には恐らく過電流防止回路やヒューズが組み込まれていたはずです。それでも、出火した場合は、煙や温度を感知するセンサーも建造物内部に設置されていたそうです。


  4. 二つの大事故における共通点
    これら二つの大事故の共通点は、「昔から何度も経験済み」であり、その予防対策も昔から同じ。新規性がない代わりに安定した技術で予防されています。

    ところが、あってはならない共通点もありました。前者は、電車の進行方向左側で赤色に発光する信号機により、踏切の異常を運転士に知らせる安易な手段であったことです。つまり、京急は、運転士の能力をカバーする自動ブレーキを導入していなかったことがとても残念です。

    一方、首里城の場合は、スプリンクラーの設置が皆無であったことです。技術者であるならば、「えっ!」と驚く稚拙な予防対策です。人間は、いや、技術者は常に手抜きをする怠け者。設計職人である筆者もその一人です。



    ついつい、そう思ってしまう残念な事件です。それでは、どうしたら良いのでしょうか?