4.板ばねのフリクションを利用した軸の固定方法
- 前述の図表-3の事例よりも、固定力向上に期待できる設計事例を図表-4に示します。
たとえば、ステンレスやアルミ製のブロックAとブロックBを板ばねで連結し、図中に示す「開こうとする力」を発生させます。
【図表ー4】 - この構造で、軸は矢印の方向への移動規制が可能です。ただし、矢印の方向へ大きな力で押せば移動できます。固定力を増したい場合は、板ばねの材質や板厚や幅の変更を行います。しかし、この場合も、採用した板ばねの弾性限度(σe)以内、つまり、弾性域で使用することを設計伝承しておきます。
なお、ブロックAとBは共通形状にすることが低コスト化の上で肝要です。
5.樹脂のばね性を利用した軸の固定方法
- 前述、図表-4のさらに具体的な実施例を図表-5で紹介します。
【図表ー5】 - 図表ー5の商品は筆者考案の「携帯ディスプレイ固定ホルダー」です。
樹脂製ブロックは一体成型され、図中の中央部にある詳細図に「ツメ部」がありますが、上下のツメ部を摘まめば、携帯ディスプレイは、手動で上下に移動できます。また、樹脂製ブロックのツメ部の反対側にあるチルト機構により、携帯ディスプレイを見やすい角度に傾けることが可能です。
樹脂製ブロックは、固定されている状態では、常に応力が印加されているので、クラック(割れ)が発生しやすいことは、設計職人として、認識しておく必要があります。 - 「筆者考案」と前述しましたが、当事務所のクライアント企業での設計審査では、樹脂材料に関する常時応力印加は、「却下」と強く指導しています。その理由は、真上の緑のマーカーに示す通りです。
- 前述、さらに詳しく知りたい人は、下記書籍のp132からp135を読んでください。当事務所では、学問だけでは補えない、設計職人のワザを書籍やセミナーや本ブログで公開しています。
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おつかれ様でした。また、お会いしましょう!