切削部品設計の職人ワザ(4):機械材料上位ランキングのQCD
- まずは、「材料費を概算できない寿司屋、蕎麦屋、ラーメン屋の店長がどこにいるのか?」という刺激的な文章で始まりました。つまり、切削部品設計も同じです。切削材料のQCD、つまり、Q(材料特性)、C(材料原価)、D(材料の入手性)をこの先、学んでいきましょう。
- 早速ですが、図表3は前述の上位50%である「SUS304」「S45C」「SUS316」「SS400」のQCD特性です。どのような専門書やセミナーでもC(コスト)は教えません。教えられないのです。せめて、「この材料は高い、安い」の表現だけです。「高い、安い」で飲食店は経営できません。主婦の役割もできません。そのCを「コスト係数」として掲載しました。
【図表3】 - ここでもう一度、図表1のランキング表を見てください。この軸の材質は、ランキング11位の「SUM」です。しかし、上位50%で仕切ったため図表3には掲載されていません。
そこで冒頭で紹介した書籍「ついてきなぁ!材料選択の『目利き力』で設計力アップ」のp16を見てください・・・と説明すればそれはまる書籍を購入してくださいと言っているように聞こえます。そこで、このSUMの抜粋データを図表4に掲載しておきました。
【図表4】 - 実務公式・・・『設計見積=材料費+加工費+1個(本)当たりの型費』ですが、切削部品の製造には型は不要なので、大掛かりな加工専用治具がないならば、・・・
『設計見積=材料費+加工費』となります。とてもシンプルですね。
切削部品設計の職人ワザ(5):例題の解答
- 材料費を求める
① 体積を求める。
体積=(14/2)2×π×(2+4+16+8)=4616 mm3
材料は「SUM」であるから、図表4より、C=0.82を選択する。
材料費=4616×0.82×10-3=3.8(指数≒円) - 加工費を求める
お詫び:以下に記載される「図表5-6-××」は、書籍「ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で『即戦力』」に記載されているページです。今回のコラムは機械材料を特集していますので、今後、順を追って解説します。
① 材料取り加工費
断面積=(14/2)2×π=154 (154)1/4=3.5
したがって、本コラムではない、書籍の図表5-6-2より、約4.4(指数)と読み取れる。同、書籍の図表5-6-4より、ロット倍率:Log(3000)=3.5
したがって 0.68と読み取れる。
材料取り加工費=4.4×0.68=3.0(指数≒円)
② 外径加工費
φd×π×L×0.001=14×π×30×0.001=1.3
図表5-6-5より、約8.7と読み取れる。図表5-6-7より、
ロット倍率:Log(3000)=3.5
したがって 0.89と読み取れる。外径加工費=8.7×0.89=7.7(指数≒円)
③ 溝加工費
溝長さを求める。溝長さL=2+16+8=26φd×π×L×0.001=14×π×26×0.001=1.1
図表5-6-8より、約9.5と読み取れる。図表5-6-7より、ロット倍率:Log(3000)=3.5したがって 0.89と読み取れる。溝加工費=9.5×0.89=8.5(指数≒円)
④ その他の加工費
Eリング溝:3
図表5-6-11より、ロット倍率:Log(3000)=3.5
したがって 0.83と読み取れる。その他の加工費=3×0.83=2.5
⑤ 部品コスト(原価)の設計見積
部品費(部品コスト、原価)=3.8+3.0+7.7+8.5+2.5=25.5(指数≒円)
おつかれ様でした。また、お会いしましょう!