2.何故、「百害あって一利なし」なのか?
- FMEAは専門書の販売やセミナーが盛んです。しかし、当事務所の分析では「百害あって一利なし」です。何度もお伝えしていますが、これは冒頭で解説した「99.6%」の中小零細企業向けのアドバイスです。大企業や自動車企業へのコメントではありません。
- さて、その「百害あって一利なし」の要因ですが、大きくは2つあります。それは、指導側と受動側が有しているのです。
【図表ー3】 - 図表ー3の左側が、「0.4%」の大企業が採用しているガラパゴスFMEAの準備資料です。これが毎月リコールの最大要因であり、「百害あって一利なし」の最大要因でもあります。
① 指導側の責任:企業を退職した元技術者が、在職中に使用していたガラパゴスFMEAの書籍を出版したり、セミナーでの講師を受託しています。周辺には同じようなライバルがいて、それを自覚しているからこそ、より複雑に、複雑にと自身のガラパゴスFMEAを複雑化して、「自分のFMEAが一番!」と自己満足に浸ります。
そこまでなら、良かったのですが、人間、歳をとると自我意識が強くなり、その「一番」を若手技術者や中小零細企業へと押しけてしまうのです。
② 受動側の責任:自分の引っ越しや家屋の建設や家電品でも、1社択一ではなく、数社から見積書を取り寄せして、「ベスト オブ ベスト」を選択努力するのに、FMEAの場合はたった一冊の専門書やたった1回のFMEAセミナーへの参画だけで決めてしまうことです。
その専門書やセミナーは、前述の「0.4%」の大企業向けであることに気が付いていないのです。 - そもそもFMEAとは、単独で習得するものではありません。図表ー4の左側を見てください。FMEAとは設計書の中に組み込まれているものです。これは、「我流のオレ流」の講師では指導できません。なぜなら、当事務所の専門である「設計工学」から言えることなんです。
したがって、図表ー2の第2ステップが設計書の修行になっているのです。
【図表ー4】 - FMEAのどのような専門書もセミナーも「百害あって一利なし」と表現しましたが、一度は、専門家のFMEAを学んでください。それは、当事務所が推進している「シンプルFMEA」です。この先、順を追って本コラムで紹介していきます。
気の短い方は、下記に書籍を入手してください。当事務所の書籍は、全国の公立図書館に蔵書されています。ご活用ください。
【←画像クリックでアマゾンへ移動】 - 当事務所では、工業高校でもFMEAの作成方法を指導しています。世の中の専門書やセミナーではFMEAの作成方法だけを指導しています。一方、工業高校でもそれはたったの半日で終了します。FMEA作成ごときで、4万円/日から5万円/日のセミナー高額料金を支払ってまで受講する必要はありません。FMEAの作成方法に関して、上記に示す書籍では、p112からpp118のたった7ページ分しかありません。
ただし、これは何度も繰り返す前述の「99.6%」の中小零細企業へのアドバイスです。 - 当事務所の書籍および、セミナーとコンサルテーションは、FMEAの作成方法が2割、大変の8割が「FMEAに有効活用やトラブル抽出したその完全対策法を重点指導しています。