近年、隣国企業からは当事務所へ、EV(電気自動車)関連の技術的質問や競合機分析依頼の仕事が入るのですが、 日本企業からのそれは「皆無」です。近将来、日本のEVどうなってしまうのでしょうか?
今回のコラムはEVのコア技術であるDCモータとリチウムイオン電池とフレーム構造について、ある程度の技術情報を公開します。
1.EV用ブラシレスモータのFTA(門外不出)
- 「EV用のモータは、〇〇タイプです」とは、まだ言い難いと思います。たとえば、一般用の初代ビデオカメラは、家庭用ビデオデッキの一辺に取って付けたようなズームレンズが装備され、プロのカメラマンでもない方々が、その重力級のビデオカメラを肩にかけていました。
ところが、技術が急速に発展すると、その重量級ビデオカメラは片手で操作できるほどコンパクトになり、デザインも洗練されてきました。そんな昔の話ではありませんよね。
しかし今、街の中でも観光地でも、そのコンパクトなビデオカメラは全く姿を見なくなりました。そう!スマホで動画を撮影する時代となってしまったのです。 - さて、話をEVに戻しましょう。
EV用の駆動モータは何?と言われたら。現在の主流はACモータで、小型車はDCモータです。そのカンタン理由ですが、・・・
① ACモータは大きい、重い、高価、しかし細やかな運転制御ができる。
② DCモータは、上記の真逆
となります。用途別から、容易に推定できますよね。
【ACモータのEV】出典と設計:國井技術士設計事務所
【DCモータのEV】出典と設計:國井技術士設計事務所 - このEV駆動用モータに求められる性能は、なんと言っても下記の2項目です。
① モータ効率
② 静粛性
上記①のモータ効率とは、エンジンで言えば燃焼効率や燃費と言ってもいいでしょう。一方、②の静粛性を求めるためには、「ブラシレスモータ」は当然の設計仕様となります。
ブラシレスとは、小学校3年生の理科の実験で教わったモータ部品の「整流子」や「ブラシ」などの機械的なスイッチング機構ではなく、そのスイッチングをホール素子などのデバイスで行う非接触のスイッチング機能です。非接触ですから、静粛性の優れているのは自明ですよね。 - それでは、門外不出の静粛かつ高効率モータのFTAを以下に公開します。
- まずFTAとは、本コラムでは解説しませんが、図表ー1に示すように、FMEAよりも前の身に付けるべき設計職人のワザです。
もう少し情報が欲しい方は、「D06.『百害あって一利なし』のFMEA」を閲覧してください。 - また、少しだけFTAを解説するばらば、図表ー2が教科書的なFTAです。大病院や大工場が停電してしまうことをトップ事象にした事例です。
【図表ー2】出典:國井技術士設計事務所
さらにFTAを学びたい方は、下記の書籍「ついてきなぁ!設計トラブル潰しに『匠の道具』を使え!」を入手してください。
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当事務所の書籍は全国の公立図書館に蔵書されています。ご活用ください。 - さて、本題の門外不出のFTAを公開します。それは、静粛性かつ高効率なるブラシレスモータのFTAです。
【図表ー3】出典と作成:國井技術士設計事務所
当事務所が作成した静粛性と高効率を追求したブラシレスモータに関するマニアックなFTAです。隣国巨大企業のコンサルテーションで使用したものです。当事務所として、自信作です。モータメーカーでさえ、理解できない、作成できないFTAと自負しています。