4.トータルコストデザインが遂行できない製品が餌食

  1. 図表15-4を見てみましょう。
    図中のトータルコストデザイン(当事務所の商標登録)とは、「最適信頼性の範囲」、そして、「90%ライン」を最適設計とした設計概念です。

    たとえば、低コスト化と言っても、むやみに図中の「部品コスト」を下げれば、「トータルコスト」が上昇し、トラブルゼロなどと豪語すると、とんでもなくコストが上昇することを理解するための設計情報です。


    【図表15-4】トータルコストダウンの概念図
    出典:書籍「ついてきなぁ!『設計書ワザ』で勝負する技術者となれ!」

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  2. 前者の事例としては、いつまでも収束しない、むしろ増加傾向にある日本の自動車企業のリコール、その主原因です
    一方、後者の事例は、アメリカはNASAのスペースシャトルで、パイロット7人を無事に地球の生還させる確率が「99.9999%(シックスナイン・パーセント)」と言われています。


  3. サブタイトルの「トータルコストデザインが遂行できない製品が餌食」とは、「品質(Q)とコスト(C)のバランスをとる」、「品質(Q)とコスト(C)を両立させる」、「最適なコストパフォーマンス(CP)を目指す」・・・これを遂行できない製品開発のことを意味します。
    優先すべきは、QでもなければCでもありません。CPです。


  4. ただし、遂行するためには、次項で解説する開発ツール(道具)が必要です。逆に遂行できない製品が容易に潰せる製品ということになります。