第2ステップ:書籍「ついてきなぁ!加工知識と設計見積り力で『即戦力』」からの抜粋(その2/2)

  1. C27:このページから、いよいよ、他の専門書やセミナーでは教わらない樹脂部品のコスト(原価、仕入れ値)を求めるため、樹脂の材料費と型費の概算を復習します。





    図中の表ですが、この中に「コスト係数(C)」という欄があます。

    セミナーでよく質問される項目です。一般的に材料屋さんは、食材でも工業材料でも、「グラムで〇〇円」という具合に、「重さで幾ら」で商売を展開しています。

    食材ならだれもが理解できるはずです。たとえば、「豚肉100グラムで〇〇円」や「ホウレン草100グラムで××円」というスーパーなどでの定価表示を思い出してください。

    しかし、図中の「コスト係数(C)」とは、グラムで幾らではなく、体積で幾らを表示しています。その実務式が図の真下にある「公式4-6-1」で求まる「材料費」の概算式です。

    「この表だけでは不足です」とか、「他の材料のコスト係数を知りたい」という人は、C41以降で復習してください。

    それでも物足らない人は、下図の書籍「ついてきなぁ!材料選択の『目利き力』で設計力アップ」を入手してください。当事務所の書籍は、全国の市立図書館や県立図書館の蔵書されています。もちろん、アマゾンや楽天市場などでも容易に購入できます。




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  2. C28:板金部品と樹脂部品のカーブが交差するクロスポイントに注目してください。
    このクロスポイントは何を意味するかと言えば、「樹脂部品の最大長さ450から500mmを超えると急激に部品コストが上昇する」と言う意味です。

    その上昇値を「指数(=円)」で表示しています。ここは設計職人として押さえるべきポイントでしょう。

  3. C36:解答の前に、興味ある話をしましょう。(以下は、復習:E-01でも記載されています)
    世の中にライバルがいる場合、工業製品でも衣料品でも、飲食店でもそのほとんどが、『原価×3=定価』で定価を決めます。

    たとえば、750円のラーメンの原価は250円です。町の中にライバル店が存在する以上、味と量で勝負するのは当たり前。次は定価で勝負します。

    しかし、無謀な低価格は自爆の命取りです。そこで、原価の3倍をもってくるのが、経営上の常識です。しがたって、定価750円で町中のラーメン店が競っているのであれば、原価250円で抑えるのが必須です。原価45%、つまり、750×0.45=345円の原価では店が潰れます。確実に潰れます。

    一方、百円ショップの商品原価は平均して店内目標33円です、「平均」とは、たとえば原価50円の商品が存在していても、原価20円の商品を売って、店の平均原価33円を実現できれば安定経営です。

  4. C36、C37:それでは、期待の「設計見積り」に入ります。C27からの部品の設計見積りを説明しても無味乾燥の部品では興味が沸きませんよね。

    そこで、本セミナーでは百円ショップで販売されている50cm定規の設計見積りを実施しました。それをここで復習してみましょう。

    まず、C36を見てください。

    課題条件は、材質:PMMA(アクリル、透明ピンク色)、ロット:50,000本の場合とします。目盛りは無視します。加工法は射出成形としてください。設計見積りによる「コスト(=原価)」と「型費」を求めてください。

    因みに、・・・設計見積り=材料費+加工費+1本当たりの型費・・・が実務式でしたね。

    さらに、重要なことは「材料費」とは世界の激戦である「食材」とは異なり、大雑把な表現ですが、機械材料費は世界でほぼ共通なんです。次の「加工費」とは人件費、最後の「型費」もなんと、これも「人件費」なんです。これが設計見積りの世界です。





  5. C37:まず材料費の概算です。
    材料費=体積mm×コスト係数×(1/1000)=(幅35mm×長さ510mm×厚さ3mm)×(0.48+0.12)×(1/1000)=32.1指数(≒円)と概算できます。






  6. C34:材料費が算出できましたら、次に加工費を概算してみましょう。
    課題はロット50,000本ですから、C28の図表からロット倍率は「0.84」となります。
    セミナーでよく質問がくるのがこのページです。「先生!この図表はどうやって作るのですか?」と。

    まず、貴社とお付き合いのあるA社、B 社、C社、D社という具合に4社から5社を選択してください。なぜなら、サンプルデータとして4、5点はほしいところです。

    次に、その全社に同一の図面を渡し、ロット10本、100本、200本…1,000本の注文数別で1本当たりの仕入れ値の提示を依頼します。これを相見積り、通称、「アイミツ」と呼びます。そして、グラフ化します。やる気があれば誰でもできます。


  7. C29:次に月に1,000本とした場合の基準加工費を求めます。樹脂部品のX軸には、その部品の一番長い寸法を持ってきます。部品の最大長=510mmですので、図表より、62指数(≒円)と読めます。

    したがって、50,000本のときの加工費=62×ロット倍率=62×0.84=52.1指数(≒円)となります。


  8. C31、C32:設計見積り=材料費+加工費+1本当たりの型費・・・が実務式でしたので、最後は「1本当たりの型費」を算出します。部品の最大長=510mmであり、C32の図表から、型費=2,750,000指数(≒円)と読みとれます。したがって、1本当たりの型費=2,750,000/50,000=55指数(≒円)となります。

    ここまでをまとめると、設計見積り=材料費+加工費+1本当たりの型費=32.1+52.1+55=139.2指数(≒円)となります。

    因みに、C32の図表を作成するのに、当事務所では約1年を費やしました。技術屋とか、技術コンサルタントとは、儲からない職業ですよ(泣)。

  9. p無し:「樹脂部品は安い!」は大間違いです。それは、前述で解説した「樹脂製50cm物差し」の設計見積で判明しました。

    一般論では、定価=原価×3ですから、この樹脂製50cm定規の定価=139.2×3=420円となってしまいます。

  10. p無し:しかし、この定規は、現在も百円ショップで堂々の100円で販売されています。それでは、どうやって、100円で販売できるのかというと、下図はセミナー中に提示した「各国の工賃」です。縦軸は○○円/分です。

    因みに、この図表も作成するのに、当事務所では約1年を費やしました。技術屋とか、技術コンサルタントとは、儲からない職業ですよ。泣くしかありまん。






    「樹脂部品は安い!安い!」と貴社では言っていませんか?それは樹脂材料のことであって、生産台数によってはコスト高になる場合があります。「樹脂部品は安い」は、都市伝説です。

    因みに最も安価な部品材料は、「板金材料」です。この判別を付けられるのが「設計職人」です。


  11. C33、C34:「スライダーは高い!」と専門書や他のセミナーでは表現していますが、ここも本セミナーの特徴で、Y軸は指数(=円)で表示しています。