第1章:テーマ選定の理由と現状分析
(高レベルな製造部門が低レベルな設計部門を補強)
- p6:「最近の若手設計者は、加工法を知らない!」と、職場で言われていませんか?むしろ、製造部の方々が言っていませんか?
これは誤解です。加工法に関して、能天気な設計者は問題ですが、図面から加工法(製造法)を考えるのは、製造部の役目です。
その証拠に、日本の図面はJIS製図法に沿った「製造図面」、つまり、製造するための図面です。一方、筆者が二番目に就職した米国系企業の図面は、アメリカの規格に沿った検査するための図面、つまり、「検査図面」です。
この企業で、「最近の若手設計者は、検査法を知らない」とは30年間、聞いたことがありません。 - p7:それでも、日本の設計者は一生懸命、加工法を勉強しています。それが、p7の図表左側です。
一方、製造側の自己研鑽による講座はいかがなものでしょう?とくに、商品開発における川の上流に位置する設計の役割や仕組みを理解する講座が存在しません。 - p8:東日本大震災で仕事を失った当事務所、味噌も米も購入できない程、仕事がなくなりました。そこに手を差し伸べてくれたのが、隣国巨大企業様でした。多くの役員さんは、日本語が上手で、p8の内容を説明してくれました。
ライバル社の経営動向や技術動向を分析していますが、後者の分析で、多くの企業の長所は15項目ありますが、日本企業のそれは、なんと25項目もあるのです。嬉しいではありませんか!
一方、短所はページ左側に示す5項目です。それは、・・・
① 公差計算ができない(累積公差計算)
② 自分が設計した部品費が概算できない(材料費すら概算できない)
③ 設計書が書けない(世界で設計書を審査することを設計審査と呼びます)
④ 競合機分析ができない(このようなアスリートは存在しない)
⑤ プレゼンテーションが下手
今回、注目すべきは上記③です。
一方、余談ですが、コンサルタント仲間では、下記5N企業は要注意で、コンサルティングの受注はしないよう注意を受けています。 - p11:なんと、世界の工業国の中で、設計書が書けないのは日本人設計者だけなんです。近年のメディアは、嘘は記事にしませんが、真実は記事にしないようです。これは大変な事件です。なぜならば、寿司屋で寿司ができない、ラーメン屋でラーメンができないのと同じです。
したがって、p11のタイトル、「(世界の)誰もスカウトしない日本人設計者」が、隣国をはじめ、海外企業でバレバレになってしまったのです。知らぬは、日本人だけです。
【↑井の中の蛙大海を知らず】 - p12、p13:それでは、何故、「世界が認めたメイド イン ジャパン」のこの文言が今も残っているのでしょうか?
それは、日本の生産技術が「実力、世界一」だからです。その一躍を担ったのが、「日本!ものづくり」の掛け声です。
当事務所としては、いつ、どこで、だれが発したのかを調査しましたが、不明でした。
たとえば、ChatGPTにも聞きました・・・
『「ものづくり」の単語の起源や発祥については特定の一つの出典や人物を特定するのは難しいですが、日本語の一般的な表現としては、古くから存在していたと考えられています。』とのことです。
話を元に戻して、この「日本!ものづくり」の掛け声が日本工業界を一枚岩にしたのです。 - p13:しかし、それは本来の意思に反して、製造者、製造部だけの「掛け声」になってしましました。
設計者、設計部は「蚊帳の外」になっていました。