3. コストバランス法の概念
- 「品質(Q)とコスト(C)の最適化を図る」・・・筆者が若手技術者のころ、この文言を何度聞いたことでしょう。 最適化といってもどうやるのでしょうか?また、最適の状態をどうやって測るのでしょうか?
- 「最適化」・・・実は、日本の専門家や指導者が使う逃げの言葉です。ここにもガラパゴス文化あり!部品単品のコストでは語れませんが、トータルコストという概念を基本にすれば、「コストにもバランス」がある・・・これがトータルコストデザインであり、コストバランス法の基本概念です。
- 最適設計の「見える化」、つまり、コストと質量のバランスを以って、品質とコストの両立に当て嵌め、最適を「見える化」にしたのがコストバランス法(当事務所の商標登録)(以下、CB法と呼ぶ)です。
この設計概念を、図表16-2に示す、子供が遊ぶ独楽(こま)を以って説明しましょう。 - 図中に示す独楽aは、各部の構成円盤が地面に近く、さらに重心が回転軸近傍にあり、一見して安定回転していることが伺えます。
しかし、独楽bや独楽cはその逆で、回転中に大きく振動し、直ぐに停止して倒れると容易に予測できます。 - この独楽の各構成円盤の重心位置を、商品の構成部品のコスト(Y座標)と質量(X座標)で決定する位置と考え、図中の「バランス軸」を垂直に立てた時の独楽と考えます。この独楽の回転安定性が、かねてから難儀であった「最適化」であり、最適設計の「見える化」です。
【図表16-2 独楽(こま)の回転安定性とCB法の関連】