4.事例:コストバランス法の実施例
- それでは早速、レーザープリンタを事例にコストバランス法を深く理解していきましょう。筆者は、中学校1年生の数学で、「XY座標」とか「プロット」という単語を学びました。
図表16-3は、レーザープリンタとその構成部品に関して、質量をX軸に、コストをY軸に、各構成部品の質量とコストをプロットしました。
【図表16-3 レーザープリンタのコストバランス分析(CB分析)】 - 理系である技術者だけで構成された低コスト化チームの場合なら、図表16-3のまま、「コストを優先的に下げる集団」、および、「質量を優先的に下げる集団」として具体的なアイデア抽出へと活動に入ることができます。
- しかし、チーム内に体育系の営業マンや文系の新入社員がいる場合、少々難解な図です。そこで、図中における「電気回路系」を事例に、・・・
① 原点(0,0)から太い軸上で、電気回路系の直角の印までの長さを測る。それをL1とする。
② 同様に、直角の印から、太い線の垂直方向へ電気回路系のプロットした点までの長さを測る。それをL2とする。
③ L1×L2を計算し、図表16-4のY値とする。
④ 太い線は、図表16-4のY=0の線となる。
そうすると、図表16-4が完成します。
【図表16-4 レーザープリンタのコストモーメント分析(CM分析)】 - 図表16-3に示した少々難解のコストバランス分析(CB分析)に対して、体育系の営業マンや文系の新入社員でもわかりやすい図表16-4のコストモーメント分析(CM分析)の完成です。
ここで、図表16-4を考察してみましょう。 - 【図表16-4のCM分析結果】
図表16-3に掲載するレーザープリンタにおいて、
① コストを優先的に下げるサブ組体は、「光学系」、「電気回路系」、「定着系」であり。この順位が低コスト化活動の優先順位である。
② 一方、コストではなく、「質量を優先的に下げるサブ組体は、「鋼板フレーム」、「カバー系」、「用紙系」であり、この順位が低質量化活動の優先順位である。
③また、上記①の優先第一位である「光学系」は、その構成部品に関しての新たなCM分析を実施し、活動の目標部品と優先順位を決定すべきと考える。
④同様に、上記②の優先第一位である「鋼板フレーム」は、その構成部品に関しての新たなCM分析を実施し、活動の目標部品と優先順位を決定すべきと考える。
⑤一方、「センサー」、「配線」、「現像系」、「用紙トレイ」、「カバー系」は活動を中段し、それぞれの担当者は、前記③および、前記④の活動を支援する。 - コストバランス法に関する深掘りの一例を解説しました。
- そして、図表16-3と図表16-4を競合機に置き換えれば、本テーマの「日本製品の具体的潰し方(コスト編)」を容易に全うできます。