3.インタラクションギャップとは
- まずは、言葉で説明します。下記がその事例です。
① 車のアクセルとブレーキのギャップ:ドライバーの踏み間違えによる暴走事故を発生する。(以下、ギャップの単語と発生の単語を省略する)
② ライフジャケット装着の子供とプールに浮く遊具:遊具の下に潜り込み、ライフジャケットの浮力と遊具の摩擦で抜け出せずに溺死。
③ HV車のエンジンとモータとブレーキ:追突事故、大規模リコール。
④ アクセルとフロアマット二重敷き:アクセルがフロアマット端にひっかかり戻らず、一家四人が激突死。
⑤ 金属と樹脂の固着:熱膨張差で樹脂が割れる。
⑥ ステンレスと銅の固着:電食発生。ステンレスが錆びて電気的導通の不良。
⑦ 洗濯用の洗剤とトイレ用洗剤:「混ぜるな危険!」の両洗剤を混ぜて塩素ガスが発生し、主婦が死亡。
⑧ 六本木回転ドアと子供:回転ドアの周速と子供の歩行速度の相違で子供が回転ドアに挟まれ死亡。
⑨ 古井戸と炭酸水くみ上げ作業者:古井戸の二酸化炭素で作業者が窒息死。
⑩ ペットと飼い主:ペットに噛まれ飼い主が破傷風を発症。 - 次に、図表19-6の「絵」を使って、インタラクションギャップを深く理解しましょう。図中の ハッチング部分がインタラクションギャップです。
図表19-6:インタラクションギャップの事例 - 特性要因図の場合、一次要因から二次要因、三次要因という具合に深掘りし、ひとつの単語(要因)で括ってしまうとその要因の中でしか考えなくなってしまいます。
これはひとつの「見える化」の弊害です。
「見える化」を推進していくと見える部分でしか考えなくなるのです。これを、・・・「見える化、見える化で馬鹿になった日本人(技術者)!」という辛口の技術屋OBも存在しています。妙に納得!笑えますね! - インタラクションギャップとは、たとえば図表19-6の赤ハッチングの部分にトラブル要因が潜在していないかと推定議論していくワザです。
少々抽象的ですが、抽象的ゆえに訓練が必要です。これが設計職人の修行です。
たとえば、図中①事例は、1999年9月、ステンレス製のバケツでウラン溶液を一気に沈殿槽へ注ぎ込み事故が起きました。これが東海村JCO臨界事故です。
作業簡略のために裏マニュアルが存在していました。この事故をきっかけに,ヒューマンエラーが注目されました。 - また、図中②の赤ハッチング部ですが、「マン・マシーン・インタフェース」と言います。
各社IoT/AI事業に取り組んでいますが、21世紀になっても相変わらず人間(マン)と機械(マシーン)間にはギャップがあり、人間が機械の動きや機能に合わせなくてはなりません。このギャップがトラブルを発生させます。 - 「マン・マシーン・インタフェースを制する者はIOT/AIを制す」と、当事務所では、お客様であるクライアント企業へ提唱しています。
今、階段を上っているとき、あなたの目の前を歩行ロボットがいたら怖くて階段を登れませんよね。
おつかれ様でした。また、お会いしましょう!