4.安全率とは

  1. それでは、本コラムのシリーズで何度か掲載されるのが「5N企業」です。あぁ、またかという読者もいるので、F14の「誰もスカウトされない日本人設計者」やF24の「良い会社と悪い会社の見分け方」を再読してください。

    とくにF24には、「コンサルタントは5N企業からは受注しない」の項目に、「強度計算、安全率計算、累積公差計算やらない」というセンテンスがあります。「やらない、やらない」が、いつの間にか「できない」になってしまった企業も少なくありません。これが、日本企業の一部実態です。


  2. これらの企業が、設計審査やFMEAの充実化、3次元CADによる設計の効率化やIoT/AIなどの時代の先端用語を並べているのはとても矛盾しています。
    一方、前述の「安全率」ですが、電気屋さんにとっての安全率は、「ディレーティング」といいますが、これらに関して、設計審査やFMEA審査において、まったく説明がない、質問もない企業がとても多いことに気が付きます。これでも設計審査でしょうか?
    図表21-3は安全率の概念です。




    【図表21-3 安全率の概念】



    安全率に関しては、下図の書籍を公立図書館で借りて、学習してください。技術系の新刊は、ミスとパクリが多いので、即購入は避けた方が無難です。




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  3. 機械材料などを学ぶと、教科書には安全率のページは半ページか、たった1ページしかありません。しかも、材料の電子顕微鏡写真やら各種の特性しか説明がありません。材料原価に関しては、最悪な状況で「高い、安い」しか表記がありません。学者やセミナー講師は、これで良いかもしれませんが、筆者のような設計職人としては飯が食えません。


  4. まず安全率は、図表21-3を参照に、使用条件や品質のバラツキを補うものであり、「破壊に対する安全率」と「変形に対する安全率」が存在します。
    一方、機械材料は、Q(Quality、品質)、C(Cost、コスト)、D(Delivery、期日)、Pa(Patent、特許)、つまり、当事務所が推進している「技術者の四科目(QCDPa)」を学ぶべきです。材料原価は「高い、安い」ではなく、「円」で把握できてはじめて設計職人と言えるでしょう。

おつかれ様でした。また、お会いしましょう!