あなたの職場で、「最近の若手設計者は加工法を知らない!」などと虐められていませんか?
それは、昭和初期のオジサン達のセリフです。今や、機械設計は加工法を知らなくても設計できます。したがって、恐れずドンドン、機械設計の職に入って来てください。

1.切削加工しか知らない職場の先輩達

  1. 最近の若手技術者は加工法を知らない!」などと、皆さんは職場の先輩設計者達に虐められていませんか?筆者は、その先輩達にヒアリングしました。「あなたにとって、その加工法とはなんですか?」と聞いたところ、「切削ですよ!」とのこと。おやおや!


  2. いきなり図表ー1を見てください。これは、冷蔵庫や扇風機、エアコンや液晶テレビなどのいわゆる家電製品や、パソコンやプリンタなどのOA機器に関する材料別部品のコスト分析と部品点数分析です。
    【図表ー1】

  3. 家電品やOA機器に限定しますが、切削部品とは、コスト分析の10%、部品点数分析のたった8%しかないのです。加工法を知っている前述の先輩達が知っているのは、統計を取ると占有率が低い「切削加工法」だけだったのです。
    少なくとも、自社内では自慢できますが、派遣の設計者にはなれません。内弁慶かもしれませんね。

    一方、昭和初期の設計者なら、確かに加工法を知らないと設計はできませんでした。しかし、今はコンピュータや各種の設計用アプリケーションが進化して、加工法を知らなくても設計できます。
    たとえば、3Dプリンタを使用すれば、入り口のない鳥籠(とりかご)に鳥を入れられるのです。これは驚異的な技術の進化ですね。
    【図表ー2】


    筆者が若き設計者の頃、組立できない設計物を「知恵の輪」とか「籠(かご)の鳥」と揶揄されたものです。とても、皮肉な表現ですよね。
    すべての部品が3Dプリンタで製造するわけではないので、ある程度の加工法は知っておいた方が得策なのです。


  4. とくに、当事務所のクライアント企業のひとつである、隣国巨大企業では、設計者は業務指名制ですから、ライバルより一層優れた能力が求められます。指名ミスは、指名した部長のクビが飛びます。
    要するに、設計者はホステスやホスト、美容師や理容師、エステティシャンやネールアーティスト、そして、高校野球甲子園出場選手や箱根駅伝の選手同様の「指名制」なのです。
    重複しますが、それを指名する部長や監督に指名ミスがあったら即クビなんです。
    つまり、業務指名制の元では、人より一枚も二枚も上手(うわて)でなけれは指名は来ません。


  5. もし、日本企業も業務指名制であるならば、加工法を全く知らない設計者より、設計者として必要最低限な加工知識を有していた方が有利でしょう