【質問-1】
私は、この4月に電子部品メーカーに入社しました。 この後の1カ月間、文系も含めた総合教育が合宿形式で計画されています。
そして、5月は技術基礎教育で、6月1日に配属先が決まります。
私は、機械系の学校を卒業したので、生産技術部か設計部への配属を希望しています。
この先、どのように勉強したらよいのでしょうか? 因みに、私は世間では「リケジョ」と呼ぶ女性技術者です。よろしくお願いします。
【回答-1】
4月1日の入社式と同時に配属先が決まり、翌日から現場という企業も数多く存在します。あなたの場合、2か月もの研修期間があり、大変うらやましい企業に入社したと思います。 そこで回答ですが、これから先は、その立派な企業の技術教育部や、あなたの配属先部門で新入社員育成プグラムを有していると思います。まずは、その存在を確認し、あなたの企業の方針に沿ってください。
もし、それがない場合は、自己研鑽(じこけんさん)となります。そのとき、このコラムがほんの少しですが、あなたを一人前の技術者へと誘導します。ご期待ください。
- 以下は、新入社員とその指導者(上司)への助言や提案です。少しでもお役に立てば幸いです。
1.入社、おめでとう!
- 技術系新入社員の皆様、入社おめでとう!
入社式から1カ月が経とうとしていますが、少しは周辺の環境に慣れましたか?まずは技術よりも、複雑化した環境と人に慣れることが一番大事なことですよ。 - 一方、社会人として、または、技術者としてこの先どのように自己研鑽(じこけんさん)していくかをご案内しますね。ただし、あなたの企業で育成プログラムが準備されている場合、それを優先してくださいね。
2.コミュニケーションに始まりコミュニケーションに終わる
- それでは、図表1-1を見てください。
- 入社式では、社長から図表1-1の左側の訓示を頂いたかと思います。また、皆さんもそれに沿った大きな志(こころざし)を描いたことでしょう。しかし、今は若干異なります。図表1-1の右側が重要なのです。注目すべきは、技術者の初めと終わりに位置するのが「コミュニケーション能力」です。技術者の頂点は技術ではなく、コミュニケーション能力です。なぜでしょうか?
- その理由は簡単です。たとえば、ノーベル賞受賞者。かつての受賞者は、ひとりの功績を称え、受賞できました。しかし、現在の受賞はチームワークによる功績です。京都大学の山中伸弥教授は、ノーベル賞受賞式の際、壇上のスクリーンいっぱいに研究チームの顔写真を紹介していました。また、SONY AIBOの開発リーダーであった大槻正氏や、アメリカではビルゲイツやスチーブンジョブズも、優秀で熱意のあるチームを結成していたと聞いています。
- これらのチーム結成には、図表1-1の右側の頂点に位置するコミュニケーション能力が必要であり、もしこれが欠落していれば、だれも彼らのもとには集結しなかったでしょう。
- 無口で無表情のリーダーのもとには誰もこないのです。集まらない場合は、「金」で釣ります。そうすると、大きな歪みが生じてブラック企業が誕生するのです。
- 一方、新入社員の場合、コミュニケーション能力が欠落していれば、冒頭で解説した「まずは技術よりも、複雑化した環境と人に慣れることが一番大事なことです」が実行できません。これを怠ると、精神的に追い込まれ、夢見る技術者どころか社会から孤立することになるかもしれません。
- 指導者の方々は、新入社員の即戦力化ではなく、精神的なケアに注意を払っていただきたいものです。即戦力や技術力は、その後に自然と付いてきます。焦る必要はありません。