【質問-5】
当社では入社6か月後、1年後、3年後に、レビュー会と称する場で、そこまで学んだことと、今後の課題に関する個人発表会が開催されます。
優秀賞を獲得すると、当社の「タイ工場見学+タイ旅行」のご褒美があります。なんとしてでも、この賞をゲットしたいと考えています。パワーポイント作成のコツを教えてください。

  【回答-5】
貴社の役員が年初(正月明け)や期初において、今後の経営方針を社員の前で報告する場合や、人事部が就活の学生を前に会社の概要を説明する場合など、パワーポイントを用いる場合が多いと思います。
このとき、走馬灯のようにパワーポイントをめくる人が多いと気が付きましたか?前述の二例は反面教師です。なぜかと言えば、聞き手が、まったくメモが取れないからです。

1.いきなりパワーポイント作成の禁止

たった一候補のタイトルと内容を頭の中で描き、いきなりパソコンに向かってパワーポイントを作成する人がいます。これが大きな誤りです。まず初めに、あなたに与えられたプレゼン時間から、パワーポイントの枚数を決定します。図表5-1を見てください。
【図表5-1】
たとえば、あなたに与えられたプレゼン時間が20分だとしたら、そのパワーポイントの枚数は10枚となります。(報告型であり、表紙を除く枚数)
企業の期初で、たった15分しかないのに、30枚ものパワーポイントを使っていた役員がいましたが、今思えば、それなりの力量でしかありませんでした。プレゼンが下手な社長、役員、部長の存在は、部下としてははずかしいと思います。企業の成長もあやういかもしれません。第1回の「技術者の頂点はコミュニケーション」を思い出してください。

2.技術者の6W2Hで分析する

次に登場するのが、第2回で紹介した「技術者の6W2H」です。
「○月×日、なぜ私は壇上で20分間も、一体、誰のために、何の目的で」と分析してみてください。まどろこしいですか?
そうは思いません。だって、あなたは優勝して「タイ旅行」を獲得したいのでしょ!
【図表5-2】
図表5-2は、アウトラインを記載しています。
もっとブレークダウンした、生々しい「あなたの6W2H」での表現が必要です。
たとえば、「What」ですが、図表の右側には「何を提供するのか」「何を主張するのか」と定義付けされています。そこで、「配属先の生産技術部で1年を通して学んだこと」と書きます。しかし、このセンテンスは誰でも書けます。優勝するためには、もっと具体的に、深掘りして「1年を通して失敗から学んだこと」とすれば、ちょっと輝いた報告が期待できます。
さらに「How」で勝負を賭けます。
壇上でのパワーポイントによる主張は誰でもできます。そこで、成果物を持参します。パワーポイントと現物による主張で優勝を狙います。現物を会場に持参できない物は画像で代替します。

論法の選択

6W2Hでしっかりと目標が定まったら、図表5-3から「論法」を選択します。基本は「8段論法」で細分しますが、そこから、4段、3段、2段と選択します。
今回の事例が、壇上20分でパワーポイント10枚に適した「論法」として、8段ではまどろこしいし、3段、2段では簡素しすぎます。一番無難なのが、「4段論法」と思い、これを選択します。もう一度、解説します。
まずは、何が何でも8段を選択し、図表5-3を見ながら、8段の各項目を合体させ、4段、3段、2段に変形します。
【図表5-3】

4.パワーポイントの項目と枚数を設計する

ここまでをまとめると、・・・

①  20分の壇上で報告型パワーポイントは10枚(表紙を除く)
②  6W2Hでしっかりと目標が定まった
③  4段論法に決定した 

最後は、パワーポイントの各サブタイトルとそれぞれの枚数と図表枚数を配分します。これをパワーポイントの設計と称します。図表5-4を見てください。もっとも避けたいのが、「いきなりパワーポイント作成」です。この方法ですと、何度も何度も消しては書きの繰り返しです。間際までこれを繰り返すと、本題から大きく逸脱していることに気が付きます。
そこで今回は、「パワーポイントを設計する」を伝授しました。 「急がば回れ!」・・・これが技術者向けのコミュニケプレゼンスキルアップのコツです。  次回もお楽しみに。

【参考書籍】

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おつかれ様でした。また、お会いしましょう!