【質問-6】
体育会系出身の営業技術です。
建築材料の営業担当ですが、「技術」の名がついているので、当社の商品を購入、もしくは検討中のお客様に対しての技術サポートを行うのがメインの仕事です。
自分は体格が良い反面、お客様を前にしてのプレゼンが苦手です。声が上ずり、レーザーポインタを持つ手が震えます。自分の無様な姿に悩んでいます。何か解決策はありますか?

  【回答-6】
この手の悩みに関して、近年は女性よりも男性の方が増加しています。とくに男性技術者に多く存在し、年齢に関係ないことも特徴の一つです。困ったことに相談する相手もなく、また、コミュニケーションを主題とする書籍やセミナーでも扱っていませんよね。ご安心ください。簡単に治せますよ。しかし、ちょっと時間がかかります。何故なら、「場数」を踏むことや、多少の訓練が必要なんです。

近年、年齢に関係なく女性のプレゼンで、声が上ずり、手が震えるという場面に遭遇したことは皆無です。プレゼン終了後、「上がってしまって、手が震え冷や汗だらけですよぉ~」などと発する女性が何人かいましたが、どうしてどうして、とても立派なプレゼンでした。お世辞なしです。
一方、男性は・・・。
とくに男性技術者の場合、年齢に関係なく声が上ずり、手が震えるという場面に何度も遭遇しました。年初や期初で今後の部門方針を説明する技術系役員がこれでは、見るに堪えないのはその部下たちですよね。

1.声が上ずり、手が震えてしまう5つの原因

前述の対策は簡単です。その前に、声が上ずり、手が震える原因は以下の通りです。
① いきなりパワーポイントを作成
② パワーポイントの枚数が多すぎる
③ 理解困難な内容を言葉だけで説明しようとしている
④ パワーポイントの文字が小さい
⑤ 練習不足

盛りだくさんなパワーポイントを短時間で説明しなくてはと思っただけで緊張します。この余計な負担から解放するために、前記①②に関する対策は、前回の第5回(F05)で対策済みです。
したがって、以降は③④⑤の対策を講じていきましょう。

2.技術者向けのプレゼン資料は図表が主役でその図表を説明する

まずは、項目1の③を対策しましょう。
論文やパワーポイントに関して、技術者の多くが誤解していることは何でしょうか?それは、技術者にとって大事な宝ものである図表やデータを、まるっきり使用しない場合や、説明文の隙間埋め役で使用していることです。

これらの論文やパワーポイントはまるで、口だけ達者な評論家のようです。「技術者のプレゼン資料や技術論文には、技術者にふさわしい図表を挿入することが肝要である」・・・
このアドバイスは大きな誤りです。

どこが誤りかというと、「図表を挿入する」の部分です。実は、技術者のプレゼンや技術論文のコツとは、「図表について説明していく」なのです。つまり、図表が主役であり、後から挿入するものではありません。これが、最大の特徴です。

もう少し具体的に解説しましょう。前回の第5回(F05)の図表5-4「パワーポイントを設計する」を手元に用意してください。この図表5-4の右端に、「図表は、技術課題(1枚)+対策(2枚)+効果(1枚)=合計(4枚)」と記述しました。

ここで、主役となる図表は4枚ですから、あなたの得意な、もしくは、主張したい自慢の図表候補を8枚、少なくとも6枚は用意してください。それを机上に置き、頭の中でシナリオを描きながら「最適な4枚」を選択します。その図表4枚に関する解説書が、技術者のプレゼン資料であり、技術論文となるのです。
ここは是非、押さえておきたい技術者のノウハウですよ。