【質問-27】
私は、埼玉県に所在する企業の設計者です。当社は、検査装置や組立治具などの「装置」を設計/製造する埼玉県の中小企業です。
近年、景気の回復とともにあまりの忙しさに悲鳴をあげています。このままですと、「働き方改革」なんて夢のよう、ブラック企業とよばれる一歩手前の状況で人手が全く足りていません。
國井先生にお伺いします。他社ではどのように人手不足を補っているのでしょうか?
【回答-27】
人手不足とのこと、本当ですか?
もう少し詳しい状況を知りたいのですが、とりあえず、この質問者が主張する人手不足とは、機械設計と電気設計の設計者であることは判明しました。
この先、当事務所のクライアント企業の事例から推定した一般論を含めて回答します。
- 日本人の若きも老いも、「忙しい!忙しい!」と言うことが美徳のようです。やはり、昔の賢人たちが言っていた「貧乏暇なし」っていうことですかね?
お金持ちやお金が無くても心に余裕のある方々は、優雅で、そして、ゆったりと暮らしているのかなと思います。
#設計の人手不足
#設計効率
1.世界でも怠け者の代表が日本民族???
- 何年前の新聞記事か忘れました。
しかし、昭和ではなく平成の頃だったと覚えています。それは、ドイツの民族学者が日本人のルーツや慣習を調査して発見したことが、「日本民族は世界でも有数の怠け者」と言う研究内容でした。 - なぜならば、日本国というのは、海の幸や山の幸があり、1年を通して四季があることで様々な食物が収穫できます。魚でも南北緯度の差があることで、それぞれの地域で特有な魚が存在します。
また、地下水や川が綺麗で直接飲用も可能どころか、おいしい水です。 - したがって、人々は朝から風呂に入り、酒をのみ、寝てしまう。
たとえば、東山温泉(福島県会津若松市)は、「朝寝、朝酒、朝湯が大好きで~♪」で有名な小原庄助さん所縁の地であるとして有名です。 - このように、「朝寝、朝酒、朝湯」という習慣は前述のドイツの学者の調査では、世界を見渡しても日本民族だけという研究報告でした。
それが一変してしまうのです・・ - それとは、・・・
世界で初めて、ほぼ同時に広島と長崎に原爆を落とされ、東京も原爆を落とされたように大きな被害の東京大空襲に見舞われたのです。
この壊滅的な国土の破壊、日本国民への精神的の破壊をきっかけに我が国日本は勤勉国に生まれ変わったのです。そして、高度成長時代には世界から「働き過ぎ」と揶揄されました。
2.ニッパチの法則
- 「ニッパチの法則」、「2:8の法則」、「パレートの法則」などという呼ばれる法則があります。論文や壇上では、「パレートの法則」の使用をお勧めします。
さて、そのパレートの法則とは、「イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見した法則のことで、経済活動において全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出している」とWeb上で検索できます。 - もう少しやさしく言うと、・・・
企業において全売り上げの8割は、その企業の商品の2割で稼いでいると言えます。一方、100匹のアリのうち、よく働くのは2割だけという使われ方も存在しています。前者と後者では、図表27-1に示すように、ちょっとニュアンスが異なるようです。
【図表27-1:パレートの法則】 - アリの例は、赤枠のみを表現していると察します。ここで、正しい使い方を論ずるよりも、使われ方の事例を紹介しましょう。まず、図表27-1の左側の例として、・・・
① コンビ二の2割の商品が、その店の8割の利益を出している。
② コンビ二占有面積の2割が、その店の8割の利益を出している。
③ 故障の8割は、全部品のうち2割に原因がある。
④ 全体の2割が優れた設計ならば、実用上8割の状況で優れた能力を発揮する。 - 次に、同図の右側のアリの例を応用すると、・・・
⑤ 大手家電企業にて、社内資料の8割が無駄で2割が有効だった。(実話)
⑥ 企業にて、全社員の2割が真剣に働いている。(実話)
⑦ 同企業にて、営業の2割がその企業の利益を稼いでいる。(実話)
⑧ 試験範囲が教科書1冊のとき、その1冊の内、2割から試験に出る。 - パレートの法則を受け入れるならば、「人手不足」とは安易には言えない気がしますね。