【質問-19】
私は、光学検査装置を製造する中小企業の機械系設計者です。高専出身で入社5年目です。國井先生の「國井設計塾・全シリーズ」を受講しました。先生は高専出身者を高く評価していることを講義中にお聞きしました。「開発期間とトラブルを半減させる高速設計」のセミナーのときです。とてもうれしく思いました。
しかし、自分のレベルが全くわかりません。少しでも、私の実力がどれくらいかを知りたいです。測る方法がありましたら教えてください。

  【回答-19】
いくら高偏差値の大学卒や院卒でも、いくら資格を有していても技術者という職人には、学術知識の他に、実務知識が必要ですよね。入社時または、入社数年後に自分の実力はどのくらいだろうかと疑問に持つことが必要です。
それはまるで受験生時代の偏差値と同じです。これに疑問を抱かなければ、「我流のオレ流」の自己満足で自分の技術者人生を送ることになります。今回はそうならないために、自己の実力を把握してみましょうね。

  • たとえば、入社後10年、20年の技術者と懇談していると、ちょっと驚くシーンに遭遇します。それは、仕事の進め方やトラブルの解決法が「我流のオレ流」の自己満足に慕っていて、自分が一番だと思い込んでいる人がとても多いことです。指摘する筆者も、その類(たぐい)かもしれません。
  • 寿司屋や大工はその親方が弟子を「修行」という長くて辛い基本を経験させ日々指導しています。たとえば、寿司職人といえば、「飯炊き3年握り8年」という言葉がある通り、修行は10年以上もかかると言われています。
  • しかし、設計者の場合、その「修行」がありません。その証拠に、新人から「いきなり製図」です。そこで、設計者にも修行が必要であることを第18回「F18:機械設計者にとっての修行とは」で解説しました。
  • それでは、今、あなたの設計者として自分の実力はどれほどでしょうか?機械系技術者を例に把握してみましょう。

1.コンピテンシーとは偏差値のこと

  • まずは、「コンピテンシー」とは何かを理解しましょう。
  • 学校、そして受験システムは非常に良くできています。若き日の大切な時間を受験だけで浪費しないよう、だれもが一発で身の丈に合った希望校を受験するようにと導いています。その源泉が「偏差値」です。
  • 偏差値があるからこそ、「己の実力を把握して、将来の目標を定めろ!」が成し遂げられるのです。
  • 技術者にも「偏差値」が必要です。それが、コンピテンシー。図表19-1を参照してください。

    【図表19-1  コンピテンシーと偏差値の対比】