【質問-17
入社5年目、接着剤の企業に勤務する研究者です。一般メーカーでは技術職を「技術者」と呼んでいると思いますが、当社は化学関連の企業のため、「研究者」と呼んでいます。
さて、質問です。昨年、私が開発した二液性接着剤ですが、接着後のたった2か月で剥離というトラブルを発生してしまいました。お客様はなんと、あの厳しい姿勢の自動車メーカーです。
来週、お客様を訪問してトラブル報告をしますが、もう既に心臓バクバクでビビッている私です。お客様へのトラブル報告や謝罪の仕方でコツがありましたら、教えてください

【回答-17】
営業マンなら何度も怒られ、何度も感謝されては、その都度、成長していきます。

しかし、技術者の相手は人間ではありませんね。回数や機会が少ないため、成長どころか、落ち込んでいきます。
でも大丈夫!満点は取れそうにもありませんが、合格点の70点を取れるよう、今回も技術者(研究者)のあなたをサポートしましょう。

筆者は設計コンサルタントですが、コンサルテーションの相手は機械ではありません。企業の組織です。つまり、人間です。
設計コンサルタントとして十数年が経過する筆者ですが、人と面する苦手は克服しましたが、今でも緊張して疲れますよ。


今回のコラムは、トラブル報告など、技術者として企業を訪問して謝罪する場合や、社内での昇格面接、資格試験における面接試験などに役に立つと思います。

1.一対一、一対多数の面談(面接)は常にラポール

「ラポール」とは、「共有」、さらに詳しく訳すと、「目的を共有する」と訳します。

図表17-1のいずれもが、技術者のあなたに訪れる面談、または、面接シーンです。



【図表17-1】


この図表がどのようなシーンかと言えば、・・・
例えばあなたが悪い訳ではないのに、顧客へ謝罪に行かなくてはならない場合があります。また、昇進昇格の面接試験のときや資格取得の面接試験のときです。また、もしかしたら、お見合いのときかもしれません。どの場合も簡単です。以下に示す手順を解説しましょう。


【一対一、一対多数の面談(面接)を上手にこなす手順】
① 入室と同時に、キーマンを捜す。一対一は対面者であるが、一対多数の場合、中央に座っている人がキーマンである。相手が二名の場合は、入り口から奥の座席にいるのが、キーマンである。


② 立ったまま、キーマンに対してラポールをとる。たとえば、「こんにちは!」と。キーマンだけにラポールをとればよい。したがって、「皆さん、こんにちは!」の「皆さん」は不要。ここは、押さえるべきポイントである。


③ キーマンと目線を合わせる。これは大変はずかしくもあり、気まずいものであるため、相手のネクタイの結び目に目線を持ってくること。相手が女性の場合も同じ要領。


④ 面談(面接)の場合、着席したら相手が第一声を切るので待つ身となる。一方、謝罪の場合は、あなたが第一声を切る。このとき、二回目のラポールを得るチャンスでもある


⑤ 後は、既に投稿済の「6W2H」や「PDPC法」を駆使し、想定質問を準備しておくこと。


さて、前述の④で、「謝罪の場合は、あなたが第一声を切る。このとき、二回目のラポールを得るチャンス」の記載がありますが、このときのラポールとは一体何でしょうか?


謝罪なので、まさか、大阪風の「儲かってまっか?」では気まずいし、当日のその場では決して出てこない台詞(せりふ)です。したがって、ここでも、6W2HやPDPC法を駆使し、事前に準備しておきましょう。



【補足】
・6W2H:  「F02:技術者専用のコミュニケション道具が必要」を復習しましょう。
・PDPC法:「F04:彼女いない歴32年を克服するコミュニケーション道具」を復習しましょう。