3.事例:新人設計者と設計経験1~2年後の場合

  • 当事務所のクライアント企業が、新人設計者と設計経験1~2年後の設計者に技術コンピテンシー評価を実施した結果が図表20-1と図表20-2です。
  • データは、当事務所のクライアント企業である某社の設計者個人であり、図中の「モデル」とは、その企業で設定したコンピテンシーモデルです。



    【図表20-1 技術コンピテンシー:新人技術者】



    【図表20-2 技術コンピテンシー:入社1~2年】

  • この先、単語が理解できないと全く価値のない解説文となります。是非、第19回の図表19-1「コンピテンシーと偏差値の対比」を見ながら下記を読んでください。
  • 図中のクライアント企業は、関西に所在する企業であり、バルブなどの配管部品や、小型モータを利用した小型電気器具の設計・製造企業です。
  • 近年の就職難をきっかけに、有名大学の院卒も入社するようになりました。しかし、その新人設計者のコンピテンシー評価を実施すると、なんと、平均点が「1点」となっていました。著しく低い得点の技術コンピテンシーです
  • この現象は、この企業に限らず日本の多くの企業で見られます。企業の人事部で採用担当者にヒアリングすると、本音は工業高専、もしくは、四年制の大卒がほしいところですが、やむなく院卒を採用しているとのことでした
  • 日本の学校教育では、図表に記載されるコンピテンシー項目のカリキュラムがほぼ皆無ですから、一日も早い社会人、即戦力となることを臨んでの発言でしょう。したがって、過激な発言を許してあげてください。(上記、人事部の発言)
  • 一方、筆者の立場から言えば、高専や院卒も本人のモチベーション次第です。やる気がなければどちらも同じ。逆に、やる気があればいつでも追いつけます。ただし、「新人設計者」と呼ばれる期間だけのチャンスです
  • 筆者は、各企業における新人設計者のコンピテンシーモデルは、「0点から1点」で良いと思います。それよりも、1~2年後におけるコンピテンシーモデルの設定に注力すべきです。
    また、技術コンピテンシーよりも、自己マネージメントの重要性を理解することが大切と思います。
  • 新人設計者のコンピテンシーモデルは、「0点から1点」で良い?・・・これではまずいと気がついたこの企業では、ある改革が実施されました。それは、企業教育の大改革でした。
  • この企業は、関東に所在する自動車部品工業の会社です。中小企業ですが、かなり大きな規模の企業です。役員の協力を得て、経歴が1年から2年の若手設計者に技術コンピテンシー評価を実施し、その後に、コンピテンシーモデル(平均値)を設定したのが、図表20-2です。
  • 経歴1、2年においては、コンピテンシーモデル(平均値)は、30点はほしいところです。厳しいですが、それが、「即戦力」というものです。
  • 新人設計者なら、まずは、自分の実力(コンピテンシー)を把握しましょう。これ無しに10年や20年が過ぎると、「我流のオレ流」の頑固な設計者になってしまいますよ
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