2.建築士にみる分業

  • 古くて狭い家屋、日の当たらないジメジメした土地に、さんさんと太陽の光が注ぎ、二世帯が生活できる新家屋を建てるという、人気のテレビ番組(番組名:ビフォーアフター)があります。その立役者は建築士。良く観察すると特別な才能やカリスマ性はありません。
  • しかし、お客様はもとより、彼を取り巻く様々な職人との念入りな打合せが画面に映し出されます。解体業者、基礎工事屋、上下水道、電気、塗装、屋根屋などとの打合せです。
  • 実は、カリスマ性の高い人が多いと言われている建築士でも、たった一人で「匠(たくみ)」と呼ばれる人は存在しません。カリスマ性があるからこそ、多くの専門家が寄ってくるのです。そして建築士は、各専門家達と何度も打合せを繰り返して、一つの構造物を完成させるのです。
  • この建築士(設計者)を、もう一度よく観察すると、古い家屋の解体時からの立会いで、解体屋へ廃材と残すべき材料の指示を飛ばしています。いよいよ、改築が始まれば、作業者へ新建材の搬入から組み立てまで、細かく指示を入れています。
  • 企業の設計者も本来は、この建築士と同じ立場です
  • つまり、設計部を取り巻く関連部門の役割を理解し、それらの部門が役割として成すべき仕事と、設計部門からの依頼すべき仕事をとりまとめるのが設計部門であり、その設計者です。
  • したがって、設計部門を取り巻く関連部門の役割を、企業毎に理解しておく必要があります。これぞ正しく、新人設計者のための心得にふさわしい成長プロセスだと思います。