3.「率」から見た良い会社と悪い会社の見分け方
- 本項では、前述の5N企業以外の見極めを解説します。
筆者は、幾つかの大学で非常勤講師を務めています。学生たちの就職活動が本格的になってくる時期には必ず次のように質問されます。
「先生、『良い会社』は、どのように見極めたらよいでしょう?」・・・そのようなときは、あくまでも「偏見を持つ設計コンサルタント」の立場という条件で、下記をアドバイスします。その見極めの指標が、以下3種の「率」です。
① 特許出願率
② 女性技術者在籍率
③ 技術者役員率 - まず、①の「特許出願率」ですが、「率」故に、分母はその企業における特許提出対象の技術者総数です。多くは、研究者、設計者、生産技術者であり、その在籍人数です。分子は、年間の特許出願件数です。
したがって、就職面談のときに、人事担当に質問すれば後で教えてくれるはずです。もし人事担当にはぐらかされたら……要注意の企業でしょう。 - さらに業界で括ります。
例えば、自動車業界、家電業界、OA機器業界、ソーラー業界、冷凍食品業界という具合です。その一業界の中で、前述の特許出願率が、第1位、第2位までの企業への就職がお勧めです。
逆に、最下位または、最下位から2番目などの企業への就職は、選択する理由が理解できません。
「率」を調査することが困難な場合は、特許件数でも構いません。1位、2位、そして、最下位は同じ会社名でしょう。 - ここで、図表-2を見てみましょう。
【図表ー2】特許抵触は会社が潰される場合もある - 仮に、ある中小企業の商品が、大企業の大砲級の特許1件に抵触したとしましょう。そのとき、戦える機関銃のような特許を何発も有していれば、お互いの特許を何年間か自由に使いましょうという「クロスライセンス契約」を締結できます。
しかし、有していなければ、莫大な金額の特許料をその大企業へ支払うことになります。これをロイヤリティーと呼びます。最悪の場合、販売停止です。 - 次は、②の「女性技術者の在籍率」です。分母は総技術者在籍数。分子は女性技術者座席数です。女性技術者の在籍率の低い企業は「悪い会社」ではありませんが、女性技術者の在籍率の高い企業は「良い会社」です。
女性は選択に関しても、とても敏感だからです。 - 女性在籍数が極端に低い企業をはじめ、組織体や団体は要注意です。たとえば、ブラック企業はこの傾向が強いと当事務所では判断しています。何よりも、女性にとって良い会社とは言えません。
だから、ダメとは言っていません。要注意です。今は、そのような時代なのです。 - 最後は、③の「技術者役員率」です。
分母は総役員数。分子は技術系の役員数です。これらも、特許出願率同様の選択法で企業を選別できる情報です。 - ただし上記はあくまで、当事務所独自の統計的な選択法であることを理解くださった上で、参考にしていただければと思います。
また、当事務所の調査によると、前述の「3つの率」と「5N企業」に大きな相関がありました。これは、当事務所にとっては貴重な情報です。
4.イメージCM会社と高収入会社は要注意!
- 見極めは、まだあります。
それは、「イメージだけ」のテレビCMを流している会社です。企業イメージだけを、新聞、週刊誌、ポスター、ラジオ、そして、TVコマーシャルに流している会社は注意が必要です。ダメとは言っていません。
「注意」とは、単に回避するのではなく、十分な調査が必要という意味です。実際、企業イメージが悪いことを、その企業が熟知しており、イメージコマーシャルだけで改善しようとしている小手先の企業が少なからず存在しています。 - もちろん、「真の優良会社が存在」の例外もありますから、気を付けてください。あくまでも傾向なので、参考情報として考えください。
- 次に上げるのが、一般社員の収入が高すぎる会社、逆に低すぎる会社も要注意です。低すぎる会社は論外です。
高すぎる会社、それしか会社の魅力がないことをその企業自体が熟知している証拠です。外資系の企業にその傾向が見られます。