【質問-30】
とくに質問ではありませんが、先月のコンサルティングで先生は、「コンビニ系の〇〇Payに加入した技術者は挙手してください!」と、質問されましたが、半分冗談だとは分かってはいても、少々、緊張しました。
先生の忠告は次に通り、「今後は、トラブル三兄弟を仕事だけではなく、生活面からも応用しなければ身に付かない。日々修行をせよ!」と。
私生活からもトラブル三兄弟を意識するよう、家族にも働きかけたいと思いました。ご忠告、ありがとうございました。

  【回答-30】
そんなに強く主張した覚えはないのですが、ちょいと照れくさいですね!
技術者のQ(Quality、品質)を刈り取るためには、「匠のワザ(1)から(6)」までがあり、その内、最も重要な項目が「匠のワザ(1)」、つまり、「トラブル三兄弟」なんです。
しかし、このクライアント企業様は、ちょいと能天気なところがあって、大事な「匠のワザ」をすぐに忘れてリセットしてしまうのです。
そこで、自称プロのコンサルタントとして筆者が考えた策が、・・
① 失敗事例発表会の年2回開催。② 週報会にて、日常の不具合やトラブルのニュースを、トラブル三兄弟で分析する。
です

  • まず、「とくに質問ではない」とのことですが、前述の「コンビニ系の〇〇Pay」の大不祥事に関して、トラブル三兄弟を応用して分析してみましょう。

1.トラブル三兄弟、三つ踏んだらトラブル回避は不可能!

  • 昨今、「コンビニ系の〇〇ペイ」が物議を醸す大事件となりました。事の発端は、手順を踏めば、誰でも簡単に他人のIDを乗っ取ることができるとのこと。
  • したがって、2019年7月1日に開始したQRコード決済システム「〇〇ペイ」で不正アクセス被害が発覚したのです。

    相次ぐ不正利用の報告に暫時、入金手続きを停止する措置がとられていましたが、その3日後、〇〇ペイの関連者が一連の不正利用に関して記者会見を開いたのです。当時、被害者900人、被害総額5500万円でした。
  • この事件を「トラブル三兄弟」を応用して分析してみましょう。

    新規技術:スマートフォン決済システムとして、この企業は後発である。したがって「新規参入」の新参者であり、相当な焦りを感じる。

    トレードオフ:現在、安定しているプリペイドカードである「△△カード」とのトレーオフ。一方、フェースブックなどの利用者が元々保有している外部IDでも容易にログインできるよう設定された。つまり、安全性よりも登録の容易性を優先したトレードオフである。また、安全性よりも利用者拡大とトレードオフしたとも言える。ニュースからは安全性の仕組みが微塵も感じられない。

    ××変更:なんとシステム開始の半年前に大幅な仕様変更(アプリ変更)を実施していた。つまり、このコンビニでは、当初は別々になるはずだった二つのアプリを相乗りさせることにした。その決定が前述開始の半年前という能天気な企業体質。

  • 「トラブル三兄弟」とは、・・・

    a:一つ踏めばトラブル発生の可能性大

    b:二つ踏めば必ずトラブル発生


    c:三つ踏めばトラブル発生しないはずがない!

それでは、どのように回避すればよいのでしょうか?

2.「匠のワザ(1)から(6)」を学び 修行を重ねるのが設計職人

  • 技術者の四科目は、Q(Quality、品質)、C(Cost、コスト)、D(Delivery、期日)、Pa(Patent、特許)、略してQCDPaです。

    特許にあまり関係ない部門もありますので、技術者の主要三科目は、Q(Quality、品質)、C(Cost、コスト)、D(Delivery、期日)、略してQCDです。Q(Quality、品質)を押さえるためには、前述の「匠のワザ(1)から(6)」の実行で十分です。
  • 現在、本コラムでは、最も重要な「匠のワザ(1)」、つまり、トラブル三兄弟から順に学んでいます。
  • ところで、日本の企業数は300万社、その内の工業関連が100万社、さらにその内の98.6%が中小企業です。この98.6%の企業に複雑なFMEAなど不要です。複雑なFMEAは「百害あって一利なし」です。



【図表40-1  工業関連で日本の中小企業は99.6%】
(出展:國井技術士設計事務所)

  • また、いじめの会に変貌しているDR(デザインレビュー)も不要です。
    そのいじめの会をDR0、1、2、4などと繰り返すことも「百害あって一利なし」となります。前述の「匠のワザ(1)から(6)」の習得と修行で十分です。