【質問-35】
かつて、当社では「見える化」を特集した記事を連載したことがあります。当初は、相互理解が深まり、ミスや不具合の未然防止に役立つと思いました。
しかし、うちの上司は「見える化、見える化」で日本人技術者がアホになったといいます。確かに、最近の技術者は、考えなくなったとか、深掘りしないと、思います。
現役のコンサルタントである國井先生は、最近の日本人技術者をどう思いますか?
【回答-35】
さて、今回も難問回答ですね。知ったかぶりをしたくはありませんが、当事務所のクライアントである、韓国、中国、台湾の企業では、「見える化」と言う単語や、それに相当する単語は聞いたことがありません。
「見える化」は、ガラパゴス大国、日本企業の造語であり、合言葉でしょう?
この単語の発祥なども調べて、以下のように回答します。
- 「見える化」・・・当事務所は、設計コンサルタントで生計を立てており、設計に関する自称、プロのつもりですが、筆者にとって「見える化」とは、業務上、縁がない単語です。
したがいまして、自己研鑽を含め、今回は「見える化」を深掘りしていきましょう。
1.「見える化」とは
- 筆者が詳しくは知らないこの単語、「見える化」の由来を調べてみました。コンサルタントとしては、情けなく思います。(反省!)
① ご多分に漏れず、その昔、日本の大手自動車企業の生産現場で発祥した
単語である。
② 生産現場における問題を常に見えるようにすることで、問題が発生して
も即、解決できる環境に整備しておく。
③ さらに問題が発生しにくい環境に整備しておく。
④ 事例としては、トヨタのかんばん方式が代表格。 - 上記のかんばん方式とは、顧客に相当する後工程の作業者が、必要な部品を、必要なときに、必要な量だけを「かんばん」と呼ぶ部品管理カードを持参し、前工程に取りに行くこと。
このシステムにより、前工程の作業者が、必要以上の部品を生産して後工程に貯めてしまう非効率な作業を回避できるという。 - 前述質問者の「最近、やたらと見える化」を目にするのは、この管理手法の類(たぐい)が生産現場だけではなく、様々なビジネスシーン、たとえば、大手銀行や、大手保険会社の事務処理業務でも有効らしいという評判が世間にはあるからです。
- 図表35-1のイメージ図に示すように、有益な「見える化」とセットで、「見せる化」も有益とされています。
しかし、「見える化」の本質を忘れて、「見せる化」だけに特化しているという、悪しき事例も指摘されています。
【図表35-1 見える化」と「見せる化」のセット】