3.事例:技術論文における書き出しの作り方
「魅力あるタイトルが決定したら、次は、書き出しで勝負する」と聞いて、いきなり書き出すことはナンセンスです。新人設計者のあなたも、子供の頃は補助車をつけた自転車に乗って訓練したはずです。技術者向けのコミュニケプレゼンスキルアップ、その書き出しにも「補助車」が必要なんです。
その補助車に相当するのが、第2回で学んだ「技術者の6W2H」です。それでは、早速、図表11-2に示す6W2Hをみてください。課題は、「誰もスカウトしない日本人設計者」です。
【図表11-2】
【課題:日本企業の設計力低下について300字以内で述べよ。】
――――― インパクトのある書き出し例 ―――――
【タイトル】誰もスカウトしない日本人設計者
【はじめに】
設計コンサルタントゆえに知ってしまった驚愕の事実がある。それは、世の中には、その存在すら知られていない「技術スカウトマン」という職業がある。約5年前以上から彼らにひとつの法則が生まれた。それは、日本の設計者は決してスカウトしないという法則である。
最大の理由は、日本人設計者は、設計書が書けないという。海外企業に転職した日本人設計者は、これが原因でISO9001における必須の設計審査に臨めない。
近年、日本製品の企画力と設計力が低下した。過剰品質の商品群と低コスト化設計の遅延は、隣国の工業界を著しく躍進させた。
以降は、新人設計者とともに、中堅設計者の再教育の必要性と日本の設計力のリベンジを提案する。(300文字)
上記において、図11-2に示した6W2Hのインパクトキーワードに相当する部分に青色のマーカーを付しました。
ここで注意が必要です。インパクトキーワードの全てを書き出しに盛り込む必要はありません。むしろ、盛りだくさんに挿入すると、インパクト度が薄れます。
一方、課題には「300字以内」の制限がありますが、もし、「200文字」以内に変更するならば、いきなり文章を削除するのではなく、あなたにとって必要なインパクトキーワードを選択し直して、再度、短文を作成することがコツです。ここは、技術者として押さえるべきポイントですね。
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おつかれ様でした。また、お会いしましょう!