【質問-28】
先生はゼロ戦ファンとお聞きしました。先生の書籍にも、何度かゼロ戦が設計事例として掲載されていますね。
私もそのファンの一人ですが、様々な展示場や資料でゼロ戦の企画書と設計書を探したのですが、見当たりません。
先生がご存知でしたら、教えてください。
【回答-28】
困りましたね。まず、ゼロ戦(ぜろせん)ではなく、零戦(れいせん)と発音しないと、ファンからは白い目で見られるかもしれませんよ。
困ったのは、私のコラムは若手技術者の育成をモットーとしたコラムゆえ、ちょっと兵器の話は難しいような気がします。
しかし、私も零戦を含む航空機ファンということで、今回は特別に協力したいと考えました。
- 第2次世界大戦で活躍した我が国を代表する戦闘機は、零戦(れいせん)や紫電改(しでんかい)、雷電(らいでん)や隼(はやぶさ)、飛燕(ひえん)や疾風(はやて)などです。
一方、代表する戦艦は、大和(やまと)や武蔵(むさし)、戦艦長門(ながと)や陸奥(むつ)などでしょう。 - これらに関しては、年齢に関係なく根強いファンが存在しています。なんと、海外にも存在します。ファンの共通点は、その性能や機能美に惹かれていますが、もう一つの重要な共通点、それは、戦争大反対!です。
以下、図表28-1に示す零戦、その企画や設計関係に絞って執筆しますが、世の中にはとんでもないほどの情報通の方がいて、彼らにはなんて初歩の情報だと、筆者は冷やかされるかもしれませんので、その際には、ご了承ください。
【図表28-1 これが零式艦上戦闘機(零戦)(國井技術士設計事務所作成)】
1.零式艦上戦闘機の企画書
- 図表28-2は、本コラムのシリーズで何度か掲載される商品の設計フローです。
【図表28-2 商品の基本的設計フロー】 - 図中の一番左に位置する「製品企画書」に注目してください。
以降、私が各種の資料をまとめて作成した「零式艦上戦闘機」の企画書(計画要求書)です。実際に作成したのは、大日本帝国海軍航空本部です。
【図表28-3 零式艦上戦闘機の企画書(その1)】
【図表28-4 零式艦上戦闘機の企画書(その2)】
【図表28-5 零式艦上戦闘機の企画書(その3)】 - 国内にはどこを見渡しても非力なエンジンしかないのに、世界最高速度、同、最高航続距離、同、最高高度の要求。さらに、7.7mmの機関銃のほか、20mmの機関銃まで重装備するという矛盾だらけの要求でした。
- 現在で言えば「なんでもあり!」の戦闘機を、当時の海軍が企画したのでした。
「なんでもあり!」は、なんと現在の日本製品の諸悪の根源です。たとえば、家電品、携帯電話、自動車、とくに軽自動車。これらは一つのワードで括れます。それは、ガラパゴス大国日本!