2.Whatは低コスト化、Howはフロントローディング開発

  • ここで、図表33-1を見てみましょう。

  • 前回も掲載した設計フローです。図中の赤い星印★で、検図以外のFMEAやQFDやデザインレビューは、フロントローディング、つまり、「出図」の設計プロセスであることは、重々承知のことと思います。


  • つまり、検図を残してFMEAやQFDやデザインレビューは、フロントローディングの設計プロセスになっていますが、まだまだ、その前がスカスカの状態で、図中の星印★が付きません。
    何をやればいいのかというと、C(Cost、コスト)です。つまり、低コスト化活動です。過剰品質と多機能を好む、日本企業最大の弱点が「C」です。


  • Qを固め、Cを確実に刈り取る。そうすると、競合機と競争できる、または、競合機と戦うことができるのです。


  • 長年、Q(Quality、品質)一本で土俵に登ってきた日本企業ですが、近隣の諸外国に、多くの日本企業が土俵の外に投げ出されました。まずは、造船、次に鉄鋼、そして、一部の家電製品の企業です。



  • 最近の敗戦結果は、オール家電、パソコン、スマートフォン、デジカメ、リチウム電池、EV、EVバス、航空機、戦闘機、衣服、化学素材、食品などではないでしょうか?どんどん、お家芸や基幹産業が奪われていきます。


  • それは、もう、Q(Quality、品質)だけでは戦えない、Qなんて当たり前という時代になったのです。昭和初期の技術者が信仰したTQCやTQMに、いつまでもすがりついた結果、指導者を失った日本企業は、Qの延長線上に「過剰品質」と「多機能」というアルカディア(理想郷)を創造しました。


  • 一度は、そのアルカディア(理想郷)の中に居心地の良さを見つけました。そのおいしい物はラジカセ。その味をしめた日本の技術者は、次々と過剰品質と多機能の商品を開発します。その代表格が日本の家電品です。
    エアコン付き洗濯機やマイナスイオン発生装置付き液晶テレビ、蚊取り器付き空気清浄器やしゃべる冷蔵庫など。


  • いずれも、前述のTQCやTQM信仰が強い日本を代表する家電企業です。現在、その企業の共通点は、「衰退」。


  • そして、勤勉な日本企業は、さらに先のアルカディア(理想郷)を探りました。しかし、そこで待ち伏せしていたものが、「ガラパゴス」で、その代表的な絶滅危惧種が「ガラケー」です。