1.日本企業の99.6%は中小企業

  • 本コラムのF22が「氾濫する設計ツールはオールリセット!」、同、F23が「間違いだらけの設計フロー」、そして、今回は前回と、とても良く似ているタイトルで、「間違いだらけの開発ステップ」となっています。過激な表現のタイトルですが、一体、何が起きているのでしょうか?
  • この原因究明は意外とカンタンでした。たとえば設計ツールに注目すると、専門書や技術セミナーの案内書からは、QFDや品質工学、超複雑FMEAや難関TRIZなど、中小・零細企業ではあまり関係のない設計ツールが氾濫していました。
  • この設計ツール名を知った中小・零細企業の技術者や経営者は、劣等感に苛(さい)まれ、「あの有名な大企業が使用している設計ツールだから我々もどうにか導入したい!」と焦ります。よくもまあ、このような多種で難関な設計ツールを使い分けできるものだと、筆者も感心しています。
  • ここで、図表-1を見てみましょう。なんと、日本の工業関連の大企業はたったの0.4%、残りの99.4%が中小・零細企業です

    【図表ー1】日本工業界の99.6%が中小零細企業
  • 図表ー1が、筆者の愚痴の根源です。つまり、技術セミナーの講師や専門書の内容のほとんどが、たった0.4%の大企業向けだったのです。
    そのセミナーの受講者は、日本中や世界中がすべてその内容だと信じてしまい、自社に戻ってはあわてて、セミナーの内容を吟味ぜずに各種の開発ツールを導入してしまうのです。
  • その結果、「百害あって一利なし」。発祥元の〇〇会社の大企業では役立つ開発ツールでも、商品分類も商品規格も開発整員数も全く異なる中小零細企業では、「百害あって一利なし」の開発ツールだったのです。

  • 問題はここです。つまり、難関で重苦しい設計ツールが、0.4%の大企業寄りのツールなんです。その大企業でさえも使いこなせない設計ツールの氾濫が、中小・零細企業での混乱の第一要因でした
  • もちろん、難解なツールでも、有益なツールが存在しますので、すべてを排除することはナンセンスです。