2.コンカレント開発なんて夢の夢

  •  自動車関連企業が自慢する開発ステップに、「コンカレント開発」というものがあります。コンカレントを「同時」と訳した学者がいたそうですが、どこが同時なのかを図表ー2で解説します。


    【図表ー2】日本企業でコンカレント開発ができる企業は皆無
  • 駅伝では、各選手が交代するバトンゾーンが設けられていますが、それに相当する部分が図中における「同時進行部分」です。ある日本の自動車関連企業を徹底分析し、質問しました。「同時進行部分に相当するバトンを見せてください。または、説明してください」と。その回答には絶句しました。「無い!」の一言だったのです
  • 次工程部門へは、経緯を口頭で連絡するなど、日本企業独特の「あうんの呼吸」で、「コンカレントもどき」を実施していたのです。これではリコールを何度も繰り返すのは当り前。残念ですが、目前に反面教師の存在を確認しました。
    そこで、当事務所のクライアント企業へは、図中の文言(グレーの部分)を指導しています。

3.間違いだらけの開発ステップ

  •  ISO9001に記載されるデザインレビューですが、筆者は埼玉県川口市の設計職人につき、デザインレビュー、DR、設計審査はすべて同義語として扱い、また、本コラム内では混在使用しますのでご了承ください。
  • さて、前述の自動車関連企業をさらに調査しました。それは、図表-3に示す、複雑化したデザインレビュー(設計審査)のステップです。


    【図表ー3】自動車企業が自慢する重厚な開発フロー
  •   この重厚な開発ステップを踏んでいるからこそ、日本の自動車関連企業では社告・リコールがないと断言するならば、認知したいステップです。しかし、そのような効用はなく、むしろ、社告・リコールは増加の一途を辿っています
  • 百害あって一利なし